「アクリルスタンド」(以下アクスタ)をご存じだろうか。透明なアクリルにキャラクターのイラストやタレントの写真がプリントされたグッズだ。当初はキャラクターフィギュアに近い存在の、飾って楽しむインテリアとして登場したアクスタだが、現在は「持ち歩いて写真を撮る」といった楽しみ方も定番となり、SNSでは、「#アクスタのある生活」「#アクスタグラム」といったハッシュタグがにぎわっている。今や「推し活」の必需品ともいえる「アクスタ」は、どのような経緯で人気が高まり、ファンはどんな楽しみ方をしているのか。そして今後はどうなっていくのかを追った。
「アクスタ」の広がりと多様化の歩み
最初はアニメ・ゲームなど、二次元キャラクターのグッズとして生まれたアクスタ。タレントの実写を使用したアクスタの先駆けは、国内ではハロー!プロジェクトの「フィギュアスタンドキーホルダー」(以下FSK)といわれている。2014年頃には既に販売開始され、ファンがFSKを傍らに食事する様子をSNSにアップする文化が生じた。同様にAKB48も2014年にメンバーのアクリルスタンドを発売している。またK-popアイドルでも当時からアクスタが販売されていた。
2017年ごろには舞台「刀剣乱舞」などの2.5次元舞台で実写アクリルキーホルダーがグッズ化されたり、「ラブライブ!サンシャイン!!」声優ユニット「Aqours」の実写アクスタが全員分発売されたりと、徐々に広がり始めた。ジャニーズでも2018年、King & PrinceのCDデビュー時のグッズとして初めてアクスタが発売された。同年夏に開催されたジャニーズJr.コンサート「Summer Paradise 2018」では、ジャニーズJr.(現在のSnow Man、SixTONESら)のアクスタが発売され、即完売し話題となった。また2018年には宝塚においてもスターのアクスタが発売されている。この頃からタレントグッズとしてのアクスタが広く認知されるようになったと思われる。
さらにブームの拡大は続く。2020年には平成~令和仮面ライダー21種のアクスタが発売され、2021年には渋谷・ヨシモト∞ホールのリニューアル記念に所属芸人20組のアクスタが発売された。今ではかなり一般的なグッズとなり、東京スカパラダイスオーケストラやL'Arc~en~Cielといったロックバンドも物販ラインナップに取り入れ、好評を得ている様子だ。野球選手やプロレスラー、雀士などのアクスタも存在する。
イベント時の物販として販売されるだけではなく、近年ではキャンペーン景品として配布されたり、アニメ作品のアクスタがコンビニで販売されたりといった様子からも、アクスタの人気がうかがえる。