今話題のイケメン昆虫ハンター・牧田習。「三度の飯より虫が好き!!」と公言し、テレビ番組にも多数出演。今年1月にはNHKプロデューサーの目に留まり「ダーウィンが来た!」にも出演を果たした。
幼少期から昆虫好きで、ついには昆虫のために地元・兵庫から北海道大学へ進学。その後、東京大学大学院(農学生命科学研究科)に進み、現在は大英博物館やオックスフォード大学など海外の研究者と協同で昆虫研究を行い、新種を発表し続ける。
そんな彼が虫たちの知られざる生態を面白おかしく解説する本連載。第6回は、珍しい特徴を持つ昆虫・キベリハムシに注目!
世界中の昆虫の中でも特に珍しい特徴とは?
日本では、兵庫県とその周辺のみに生息する「キベリハムシ」という昆虫は、丸い体に青い羽を持っています。一見、どこにでもいそうな昆虫なのですが、実は、他の昆虫、いや他の生き物では絶対に信じられないような秘密があるんです。
それは、現在日本に生息するキベリハムシにはオスが存在せず、メスしかいないということです。え? メスしかいなかったら、どうやって交尾するの? とか、卵はどうするの? など不思議に思うことはたくさんあると思います。それでは早速、キベリハムシの人生、いや虫生? を見てみましょう。
キベリハムシは秋に葉っぱや枝に卵が産み付けられると、卵の状態で冬を越し、春に幼虫が生まれ、ビナンカズラという植物を食べて成長します。そして、その幼虫たちはある程度まで大きくなると、土の中でサナギになり、夏には地上に出てきて成虫になります。
ここまでは、他の昆虫と似ていますが、日本に生息する種類のキベリハムシは大人になってから、夏終わりから秋頃に、交尾をせずとも自然に妊娠し、産卵します。え⁉ と思うかもしれませんが、キベリハムシには「単為生殖」という能力があり、交尾せずとも妊娠し、卵を産むことができるのです。これは世界中の昆虫の中でもかなり珍しいことで、とてもミステリアスです。
性別がメスしかない日本のキベリハムシの世界。僕にはちょっとわからない女子校みたいなものなのでしょうか?