市川海老蔵と西野亮廣が11月22日、都内で行われた2022年1月3日(月)から東京・新橋演舞場で上演の新作歌舞伎「プペル~天明の護美人間~」の制作発表記者会見に登壇した。
同公演は、西野が発表した絵本「えんとつ町のプペル」に惚れ込んだ海老蔵が歌舞伎舞台化を熱望して実現したもの。西野自ら脚本を手掛け、舞台を“天明の世”に移してゴミ人間・プペルと寧々、玄(※交互に登場)が互いの友情を信じて新たな世界に飛び出していく姿を描く。
海老蔵がプペル、熊八、田沼の3役を演じ分ける他、市川ぼたんと堀越勸玄がプペルと心を通わせる子ども役を初となる交互出演で演じ、海老蔵との親子共演も見どころの一つとなる。
天明の世、富士山の大噴火をきっかけに何年も黒い煙に覆われ続ける江戸の町で、ごみから生まれたゴミ人間・プペル(海老蔵)と屋根葺の寧々(市川ぼたん)/玄(堀越勸玄)が出会う。町の人々は正体の知れないプペルを恐れ避けるが、寧々/玄だけは違い、二人はやがて心を通わせていく。だが、江戸の秩序を乱す「異端」として江戸を統治する田沼(海老蔵・3役)に目を付けられてしまい、田沼から逃げるうち、二人は江戸の黒煙の真実に気付く、というストーリー。
制作発表会見では、海老蔵が「今年、(プペルの)映画を家族で見まして、その中に秘められたストーリーがすごく分かりやすくて子どもたちもすごく感動して、何回も映画館に足を運ぶうちに『こういうのをしてみたいね』という話を子どもたちもしていて。私も『これはもしかしたら歌舞伎になるかもしれないな』と思って、歌舞伎にしたいと思ってからすぐに西野さんに連絡して、すぐに会って、すぐに決まるという(笑)」と歌舞伎舞台化の経緯を説明。
さらに、「既存の歌舞伎というのは伝統文化としてすごく貴重なもので、私もすごく大切に思っています。しかしながら、それに甘んじて何もしないという行動が果たして正しいのかという自問自答がこのコロナ禍において加速していく中で、みんなが『大丈夫?』『え!?』って思うことが何かの突破口になっていくという方程式に一つ懸けてみたいという思いからです」と作品への熱い思いを明かした。
また、子どもたちについて「彼女、彼らは、歌舞伎の古典的なこと、伝統舞踊的なこと、しきたりといったようなマスに収まるような教育を、芸能の面では比較的してきました。私もそういうふうに育てられました。しかしながら、私は16、7歳の時にマスから離れて、いざ自由に演じなさいと言われた時にできない自分がいたんです」とコメント。
「ですから、子どもたちには早い段階で、マスの中の折り目正しいことと、もう一つ、自分たちの発想で動けるような、自分の気持ちでせりふをしゃべる、自分の思いで行動するということを学ばせないといけない。それと同時に、ダブルキャストなので互いが互いをライバル視することで刺激を受けて成長していくことを期待しています」と二人への期待を語った。
◆取材・文=原田健