山本昌がMCを務める「マサNOTE~山本昌が記す球人の軌跡~」(スポーツライブ+)#23(12月11日放送)に、通算176勝、阪急・オリックスで活躍した大エース、星野伸之が登場。83年ドラフトで山本と同期である星野の野球人生を振り返ると共に、投球術やピッチングにまつわる裏話やテクニック論に迫る。
今回、収録後の星野にインタビューを行い、収録の感想や現役時代の山本の印象、古巣オリックスの今年の躍進のポイント、日本シリーズの総括などについて語ってもらった。
――収録はいかがでしたか?
「最初の1年目は2軍のグラウンドでスコアを付けたりしていた話など非常に懐かしい話から、真っ直ぐの球の握りの話や投球のステップの話といった新しい発見もあって、すごく楽しかったですね。球の握りに関しては、昌が野球教室で『しっかり握りなさいよ』と教えている逆のことをやっちゃっていたので、そこは申し訳なかったですけど(笑)。
ただ、昌のステップの話(投げるコースによって踏み出す足の位置を変える)は本当に目からうろこでしたね。僕はずっと同じ位置に足を置くことにこだわっていたから、あの頃に戻れるんだったら1回やってみたいなって思うくらいです。僕にはそこの臨機応変さはなかったな、と(苦笑)」
――山本さんの印象は?
「現役時代から変わらないなぁ、という感じですね。現役の時でもスクリューを惜しみなく教えてくれたし、そんな昌らしい話しやすさはずっと変わらないですね。『コーチやりたい』とか、すごく正直だし(笑)。兄弟のことやプロ入りのきっかけ、共にドラフト5位だったり、意外と共通点が多いんですよね」
――日本シリーズはどうご覧になられましたか?
「オリックス目線でいうと、山本由伸で初戦は勝ったんですけど、6イニングしか投げられなかったことから『ちょっとヤクルト手強いぞ』というのはあったと思います。2戦目は、宮城(大弥)くんが途中まで完全試合でいっていて、一方のヤクルトは高橋(奎二)くんが毎回ランナーを背負いながら0点に抑えていく展開。あれって、だんだん投げていくと良いピッチングしている方がプレッシャーを感じるものなんですよ。『一振りで負けるんじゃないか?』とか。そんな中で、点を取れなかったところが一つポイントだったのかな、と。あそこで先制点を取れていたら大分有利に運んだんじゃないかな」
――どちらに転んでもおかしくない接戦でしたが?
「最後の勝ち方も、吉田凌が投げてパスボールでチャンスがくるっていうのは、誰かのいたずらみたいな感じで...。打順も川端(慎吾)の次が山田(哲人)、村上(宗隆)というところで、選択肢として勝負し続けた中でのパスボールだったので。でも、ちゃんと1ヒットでかえってくる状況ができて、ちゃんとヒットを打つ。それで決まるっていうのは、ヤクルトに(勝利の)筋書きがあったんだろうなって思いますね。力的には本当に五分だったと思います。
だから、2022年に筋書きがあるとしたら今度はオリックスだと思います!25年前も95年にヤクルトに負けて、96年に日本一になったので、物語としてはそれが一番カッコいいですよね(笑)」
――日本シリーズは残念でしたが、今年のオリックスの躍進は目を見張るものがありました。そんな中で、躍進のキーマンとなった選手は?
「吉田正尚の(打順が)後ろの杉本(裕太郎)かな。やっぱり『吉田正尚の後を誰が打つのか?』という中で、中嶋(聡)監督が代行の時から、『杉本が1軍に行った時には使おう』と前々から決めていたような感じがするんですよね。その彼の可能性を最大限に信頼して引き出したところは、中嶋監督すごいなという感じですね」
――最後に野球ファンに向けてメッセージをお願いします!
「昌は誰とでも打ち解けてしゃべるんで、本当にしゃべりやすいです。昌が質問してくれることによって、自分の中の忘れているものが出てきたりするので、そこは楽しんでもらえるんじゃないかな。それこそ、ミットの使い方とかボールの話とか!僕としても新しい発見もあったので、ぜひ観ていただけたらと思います」
文=原田健