第1話レビュー
コロナ禍の飲食店に、エールを送るようなワカコのセリフが数多く見られた。例えば、店へ向かう道で「お店に明かりが灯っていることが、どんなにうれしくて癒やされることか」と噛み締めている場面。そして「ありがとうございました」と見送る店員に対し、「こっちが『ありがとうございます』です!」と伝え、「家で飲むのもいいけど、外でしか味わえない楽しみもやっぱりある」と実感するシーンなどだ。
料理が運ばれてきた時に心の中で「キター!!」と大喜びしたり、料理を「芸術的」だと評するワカコは決してオーバーではない。外で食事できることは当たり前ではないんだと、ありがたみを改めて感じた。常に感謝の気持ちを持っているから、食事しながらワカコはあんなにも満ち足りた表情で幸せな笑顔なのだろう。
また、出てくる料理の数々がとても美しく映し出されており、おいしさがよく伝わる。ライティングや角度などこだわりが見られ、撮影に協力してくれた飲食店へのリスペクトが料理カットに込められていると感じた。そして、お酒を注ぐ時やゴクゴク飲む時、ジューシーなとんかつを食べた時などは、BGMが掛かっていないので、本来の音がよく聞こえ、おいしさをより引き立たせている。
武田梨奈は「キャスト、スタッフ共々、“あの日々の楽しみ”を届けられるように」と願いを込め演じたという。ワカコの表情から、酒場で飲める幸せは充分に伝わり、視聴者に癒やしを与える作品になるに違いない。