「行動」より「思考」を切り取る方が幅が広がる
—―平日毎日投稿となるとネタ出しも大変だと思うのですが、日々どのように投稿内容を考えていますか?
再現VTRなので、創作ができないんですよね。だからワイプの表情や吹き出し、テロップでどう表現すると面白くなるかを毎回考えています。日々の生活のなかで「どこを切り取るか」を常に頭の片隅に入れておき、「ここ使えるな」という瞬間がきたら、なるべくその場ですぐ撮影して。仕事中でそれどころじゃない場合は一旦メモしておいて、落ち着いてから撮ります。カメラを三脚につけた状態で部屋の隅に置いておいて、すぐ撮れるようにしていますね。
――続けていく中で、画像の作り方や撮影方法など、最初の頃よりブラッシュアップされた点があれば教えてください。
昔は「行動」を切り取ってテロップを当てることが多かったんですけど、最近はほとんど「思考」を切り取っています。頭の中で考えている言葉を、明朝体のテロップにして。リンゴをかじったというような「行動」よりも、ダジャレを思いついたみたいな「思考」を見せたほうが、投稿のバリエーションを増やせることに気づいたんです。それが最大のブラッシュアップかもしれません。毎日だいたい同じ場所で同じような行動をしているので、行動主体だとすぐネタ切れになっちゃうんですよね。
![行動を切り取った例(2019月1月18日)](https://thetv.jp/i/nw/1067061/10638859.jpg?w=1284)
![思考を切り取った例(2021年10月18日)](https://thetv.jp/i/nw/1067061/10638856.jpg?w=1284)
—―過去の気に入っている投稿、特に反響の大きかった投稿を教えてください。
気に入っているのは「おてもと」の読み間違い。いちばん反響が大きかったのはゴボウとの張り合いで、2万リツイート、15万いいねぐらいです。最近は月間のインプレッション(Twitterのタイムラインに投稿が表示された回数)が1億を超えることもあって、当初と比べると状況が一変しましたね。
![「おてもと」の読み間違い(2021年7月20日)](https://thetv.jp/i/nw/1067061/10638855.jpg?w=1284)
「バラエティ番組っぽさ」の秘訣は「ワイプの中の笑顔」
—―どの投稿も絶妙に「バラエティ番組っぽい」と感じるのですが、「バラエティ番組っぽさ」に大事だと思われる要素は何ですか?
「ワイプの中で人が笑っていること」だと思います。ワイプ自体はバラエティに限らず情報番組などでも表示されていたりしますよね。番組の内容がマジメだとワイプの中の人の表情もマジメになりますが、バラエティの場合は笑顔が多い。ここが「バラエティ番組っぽさ」を演出する一番のポイントです。
—―「本日の地味なハイライト」という番組や、ワイプの方々の設定があれば教えてください。
番組の設定は「うないいちどうに密着したVTRを、スタジオの出演者たちが観ている」こと以外は特に決まっていません。この番組の主旨は何なんだろうと、自分でもわからなくなることがあるくらいで。人の生活をのぞき見るような番組なので、恋愛リアリティーショーに近いかもしれません。自分以外だれも入居してこない、孤独な「テラスハウス」みたいな感じです。寂しいですね。
ワイプの中の人たちは変装した自分なのですが、きっちりとした設定はないです。いつも左にいる帽子をかぶったおじさんは、ワイプで抜かれることが多いので、番組サイドに気に入られていますね。
好きなバラエティは「水ダウ」
――うないさんの好きなバラエティ番組は何ですか?またどんなところが好きですか?
いま放送されている番組の中だと「水曜日のダウンタウン」が好きです。「ごっつ」をリアルタイムで観ていた世代なので単純にダウンタウンが好きだからというのもありますが、企画が面白いです。おぼん・こぼんの仲直りシリーズは「テレビってやっぱりスゴいな」と久しぶりに震えました。企画はコンテンツの命なので、いい企画を生み出す番組には頭が下がります。
あとはもう放送終了してしまいましたが、「伯山カレンの反省だ!!」も、二人の掛け合いが好きでよく観ていました。いちばん復活してほしい番組は「WORLD DOWNTOWN」です。ダウンタウンが外国のスタジオで、外国人のMCやコメンテーターに雑に扱われるという番組設定が斬新で面白くて。めちゃくちゃ笑いましたね。
—―今後やってみたいことがあれば教えてください。
「本日の地味なハイライト」に関して言えば、デザインなどディテールで「テレビっぽさ」の足りない部分があるので、これからも改善を繰り返していきたいです。今までは「ぜんぶ一人でやる」をモットーにしていましたが、今後はプロのデザイナーに番組ロゴやテロップのリニューアルをお願いするとか「より質のいいものを作る」方向に転換したいなとも思っています。実際、テレビ番組のデザインはプロがやっているので、僕もそうするべきだよなと。
それと並行して、テレビ番組から着想を得た他のアイデアもあるので、しっかり形にしていきたいです。できそうなことから手をつけていって、人に面白がってもらえそうなものができたら追求して。そういう活動をしていけるといいなと思っています。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。