「疑わしいけど信じたい」という苦しさ
――以前、望緒のことを、“性格的にもずっと揺れている上に、事件にも翻弄される人間”とおっしゃっていたのを拝見しました。その“揺れ”を演じる上で心掛けたことや意識したことはありますか?
なんで揺れるかと言ったら、「疑わしいけど信じたい」からなんですよね。単純に「どうしよう、誰が犯人なの?」ということではなくて、「犯人かもしれない、でもそんなことは信じたくない、この人のことを信じたい」という気持ちがあるからこそ、揺れてしまうと思うんです。
台本上では、「○○が殺した」「○○がうそをついた」と簡単に文字には起こせてしまいますが、やっぱり一緒に学生時代を過ごした仲間のことをそう言われても、簡単には気持ちの整理がつかないはずなので、常に「うそだ! そんなふうに思いたくない!」という望緒の思いと、その苦しさを大事にしたいと思っています。
――「仲間を信じたい」という気持ちがベースにあるのですね。
はい。いろいろ起こりますが、望緒の一本の軸としては、“誰のことも悪者にしたくない”という気持ちが強いのだと思います。
――監督から、具体的にどのようなアドバイスを受けていますか?
監督に「深夜ドラマだから」というふうに言われて、いつもすごく悩んでしまうんです。私にはちょっと大げさに見えてしまうような大きいお芝居を求められることがすごく多くて…。でも私はいま望緒の人生を任されている人間なので、望緒という人物像を守るために、「そんなことをやってしまったら望緒がかわいそう…」というせめぎ合いがいつもあります。監督と試行錯誤していいところを探している状態ですね。
――今まで演じられてきた役とはアプローチの仕方が異なるということでしょうか?
そうですね。「もしかしたらもっと大げさにやっていた方がよかったのかも」という場面がありながらも、「望緒の心境とかけ離れることはしたくないし…」という葛藤があります。