理系の学生から「ほとんど見たことがなかった」というNHKのアナウンサーに
――まずはじめに、アナウンサーを目指した経緯を教えてください。
小学校6年生のとき、中学校受験のために塾に通っていたんですが、合格した子たちを横浜アリーナに集めて祝賀会みたいなものが開催されたんです。その会に私も出席したのですが、会場では皆浮かれて、ガヤガヤとしゃべっていて。ステージ上で進行されていることには誰も注目していなかったんです。そこに、その塾とフジテレビさんがタイアップしていたテレビ番組「平成教育委員会」(1991年~1997年、フジテレビ系)でMCをされていた逸見政孝さんがゲストに来てくださったんです。正直、何をお話しになったか記憶にないんですが、逸見さんが話し始めると、うるさかった会場がシーンとなって、皆が話に聞き入っていたことがすごく印象に残っていて。「アナウンサーってすごいんだな」っていう、何か言葉にならないすごさを感じて、その瞬間に「アナウンサーになってみたい」って思ったんです。
――それから、“将来の夢”として一直線という感じですか?
いいえ、もう漠然とでした。その後、アナウンサー自体がどういう仕事かということを自ら調べることもせず、中学・高校時代は将来のことは考えず、ひたすら友達と遊んでいました。でも高校1年生のときに、理系か文系か、という選択をしなければいけなくなり、ふと、アナウンサーになりたいと思ったことを思い出したんです。でも、アナウンサーは言葉を操るお仕事なので文系のイメージがあるけれど、私は小学校のときから算数が好きで、理系に進みたかった。要は自分の進みたい道と、なりたいと思う職業がリンクしなかったわけです。そこで先生に相談したら、「まず目の前のやりたいことをやってみたら?」と言われまして。「だったら、明日したい勉強は数学だ!」と思って、理系に進み、数学科を選択して大学へ進学しました。なので、アナウンサーの夢は一度半ば諦めてるんです。
――そこからどのようにアナウンサーを志すように?
そろそろ就職活動を始めなきゃ、という時期になったとき、先輩から「就活はすごく傷つく」っていうことだけ聞いていたんです。不合格になって自分のこれまでを否定されるような気持ちになるけども、でも頑張ってやらなきゃいけないよって。じゃあ、否定されてもやりたいって思うものしか私は受けられない!と思ったときに、アナウンサーしかなかったんです。自分がやりたい職業だから、傷つけられても納得がいくと言いますか、仕方ないと思えるんじゃないかと。それで決心しました。
――最終的に、晴れてNHKに入社することになりましたね。
民放局は試験が早いのですが、全部落ちまして、最後にあったのがNHKでした。でも正直、NHKはほとんど見たことがなかったんです(笑)。バラエティー番組が好きだったので民放の番組ばかり見ていましたし、“ニュースのNHK”というイメージがあって…。でも、とにかくアナウンサーになりたかったので、「もうどこでもいいから採って!」と思っていたんです。そうしたら運よく採用してくださいました。
――ちなみに試験はNHKと民放では全然違うものなのでしょうか?
全然違いました。民放は早々にカメラテストがあって、面接はすごく短くて一言二言で終わることも。おそらく今思うと“瞬発力”を見ていたのかな、と思います。自分で言うのもなんですけど、私、意外と真面目なんです! 何でも難しく考えてしまうので、例えば、ある局でいきなり「君、面白いことできるの?」って言われて。面白いことなんかできるかどうか、考えたことがなくて、一回グッと考え込んで出たのが「仕事だったら頑張ります」っていう答えで。そうしたら、「分かった」と目の前で不合格のところに履歴書を入れられたんです。
――その場でとは、シビアですね…!
そこで考え込んでしまった時点で、私は民放のアナウンサーには向いていなかったんだと思います。一方、NHKの試験は、筆記試験と一次面接は記者の方と一緒に受けるんです。結果、そっちの方が合っていたみたいですが、一次面接で、「NHKの番組、何を見ていますか」と聞かれまして…。
――ほとんど見たことがなかったんですよね…?
はい。でも、「プロジェクトX~挑戦者たち~」(2000年~2005年、NHK総合)は有名な番組で知っていたので、「『プロジェクトX』です」と答えたら、面接官に「君、NHK見てないね」ってすぐバレまして(笑)。「戦うときは相手が何を作っているか、勉強してから来なきゃダメだろ」って怒られたんです。それなのに、通ったんですよ。入局してから、その面接官の方に廊下でお会いしたので「なぜあのとき、私は通ったんでしょうか」と聞いたら、「誰よりもアナウンサーになりたいんだ、っていう眼力が強かったから」と言ってくださって。新人研修のときに「神田は真剣になるとまばたきをしない癖がある。怖いからまばたきしなさい」って言われたことがあるんですが、おそらく面接でもまばたきをしていなかったんだと思います(笑)。本当にありがたかったです。
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