漫画とは「それぞれの生活の中から作品がにじみ出してくる」もの
――今回の放送では渡辺航先生が「弱虫ペダル」を、青池保子先生が「ケルン市警オド」を、新井英樹先生が読み切り作品「パンゲアね」を制作される様子が公開されます。3名の先生はそれぞれどのような方々でしたか?
「漫勉」に出ていただいた先生たちは全員“1人1ジャンル”みたいな方でしたが、今回もそれぞれ全く違う漫画の描き方をされていました。
青池さんはキャリアが50年を超えるレジェンドです。その長いキャリアを支えた、漫画をとにかく楽しみながら描く、という姿勢に心打たれました。
一番若い渡辺さんは、ご自身も本気で自転車に乗り続けて体を鍛えていらっしゃる、日焼けで真っ黒な方でした。ご本人の躍動感がそのまま作品に表現されています。
かと思うと、新井さんは20年ほど引きこもってらしたという。そして最近外に出て行くことで、新たに人間に対する温かい目線が生まれ、作品にそれが反映されているところがとても興味深かったです。
それぞれの生活の中から作品がにじみ出してくるんだということが、今回の放送でも伝わるんじゃないかなと思います。
――漫画家の作業風景で、浦沢先生が「必ずここに注目してしまう」点を教えてください。
.ペンのスピードですね。速い人は「だから躍動感が出ているんだ」と思いますし、ちょっとずつ進めていく人には「だからあの繊細さが出るんだ」と。作品全体を作っているムードのようなものも、ペンのスピードが司っているイメージがあります。