小泉と美村の“個性的”な台本の使い方「まず何も書かない」
――撮影を振り返ってみて、印象的だったシーンなどがあれば教えてください。
小泉:山中湖で撮影したのですが、やっぱり寒かった。でも、ついてましたね。
美村:行ったかいのある画が撮れました。風も吹いていなくて天候にも恵まれて。こんな1月の寒い中で撮影していたわりには、すごく平穏に撮影が進んで、よかったなと思います。
小泉:お互いに「山中湖は肝ですよね、どうにか乗り越えたい」と言っていました。山中湖で君島役の松本岳くんに、白鳥が2匹寄ってきて、懐かれていて(笑)。あれ、癒やされましたよね?
美村:癒やされましたね。白鳥は結構強気で「おまえパンとか持ってないのかよ?」みたいな様子で(笑)。
小泉:そうそう。で、彼がホッカイロを出したら「え、パンじゃないのかよ!」って感じだったよね(笑)。
美村:これで話が1本作れる(笑)。今回は、台本を読んだら結構せりふも多いし展開もいっぱいあって、いろんなところにも行くから大変そうだなと思っていたんです。でも、みんなで「あっはっはっ」って笑っていたら、“もう最終日?”という感じです。
小泉:そう、早い! すごく早かった。
美村:すごく順調にやってくださったチームの構成力や、皆さんのフォローのおかげだと思うので、ここで改めてお礼を申し上げたいです。難航することなく、わりとゆったりした空気感で撮影できました。
――ドラマでは“癖”が1つのキーになりますが、つい出てしまう自分の癖があれば教えてください。
美村:私の場合は、メイクさんたちによく「鼻歌歌ってますね」って言われるんですよ。
小泉:ああ、美村さん、歌ってる(笑)。
美村:ははは。最初は全く自覚がなくて、“え、本当に?”と思っていたんです。でも、仕事が好きで楽しいので、これから芝居ができると思うと機嫌がよくなってるんです。そうするとだいたいメイク中に、謎のリズムが出てしまって(笑)。もう何年も指摘され続けて、最近認めました。
小泉:そういう意味では僕、本番前にゴルフのグリップ握ったりしてます。それを美村さんはゴルフしないのに「小泉さん、今グリップ握りましたね?」って僕に言うんです。
この間はスイングしないで左足体重から右足に体重を移動して、自分の頭の中だけでスイングしたんですよ。そしたら「今、スイングしましたね?」って。美村さん、すごいです!
美村:うまいからですよ。ジェスチャーがしっかりしてるから、分かったんです。
あと、これがどういう意味があるか分からないのですが、役者って、台本の使い方がすごくいろいろなんですよ。マーカーを引く人とか、付箋を貼る人とか、ありとあらゆる人がいる中で、私と小泉さんは台本の使い方がすごく似ています。
小泉:僕もびっくりしました。何も書いてない人に出会ったのは初めてでした。
美村:2人ともまず何も書かない、マーカーも入れない。そして、その日のスケジュールを最後の空白のページに書くっていうのも同じで。
小泉:ただ、美村さんはきれいに使われてるけど僕のはボロボロです。しょうゆとか飛んで(笑)。でも、初めてですよ。“あー自分と同じタイプだ”って。
美村:なかなか面白いですよね。使い方によって役者の性格が結構出ると思うので。