今話題のイケメン昆虫ハンター・牧田習。「三度の飯より虫が好き!!」と公言し、テレビ番組にも多数出演。2021年1月にはNHKプロデューサーの目に留まり「ダーウィンが来た！」にも出演を果たした。
幼少期から昆虫好きで、ついには昆虫のために地元・兵庫から北海道大学へ進学。その後、東京大学大学院（農学生命科学研究科）に進み、現在は大英博物館やオックスフォード大学など海外の研究者と協同で昆虫研究を行い、新種を発表し続ける。
そんな彼が虫たちの知られざる生態を面白おかしく解説する本連載。今回は、驚き！“羽のない蛾”に注目！
羽がなくても大丈夫！とっても賢い蛾
皆さんは「蛾(ガ)」というとどんなイメージがありますか？
おそらく、映画『モスラ』に出てくるような羽を持った虫が、暖かい季節の夜に暗闇をパタパタ飛んでいる様子をイメージされる方が多いかと思います。
しかし、今回、紹介させていただく「フユシャクガ」という蛾の仲間にはこのイメージからは考えられない驚きの事実が存在します。
まず、このフユシャクガですが、「フユ」という名前がつく通り、冬のとっても寒い時期だけに活動するんです。雪が積もるくらい寒くても大丈夫です。冬は寒い季節ですが、自らの天敵となる多くの生き物が活動しない冬に活動することで、安全に暮らすことができて、とっても賢いと思います。
そして、さらに衝撃的なのは……フユシャクガのメスには羽がないんです!!
蛾なのに羽がないってどういうこと!?と思うかもしれませんが、メスは羽を持たず、蛾とは思えないビックリするような見た目をしています。
でも、羽がないと、飛び回ってオスに出会うことができず、交尾できないんじゃないかと心配になりますよね……。でも、大丈夫なんです！羽がないフユシャクガのメスはフェロモンを出し、オスをおびき寄せることができるので、無事に交尾することができます!!
フユシャクガは冬に多くの公園などでも観察することができるので、蛾なのに羽がない驚きの姿を見てみてはいかがでしょうか。
