ハロー!プロジェクトを言葉で表すと?
――つんく♂さんが、楽曲制作において、長く聞かれるために心掛けていることは何ですか?
つんく♂:学生時代から曲を作り始めて、今は50歳を超えましたけど、若い頃の曲にはその時に感じていた社会に対する不満が詰まっていて、今は今のメッセージというかボヤキみたいなのがあります。
ですが、今のところ、自分で昔の曲を聴き返しても全く違う意味に聴こえることはないです。昔の曲は若いなりにひねくれていた面もあるけど、今も同じように思うことも多いし、今も聴き続けられていると聞くと「よく頑張っているな」と思います。
――お二人がハロー!プロジェクトを言葉で表すと、何という言葉で表しますか?また、改めて感じた魅力をお聞かせください。
北野:物事に向き合う姿勢が素晴らしいと思います。MVの撮影でも、ダンスのショットなどで失敗したら、自己申告で再撮影をお願いしてくれる。そのように、どんなことも追及していく姿勢は僕も勉強になります。
その姿勢は、つんく♂さんを始めとする楽曲を作っている方々にもビシッと貫かれている気がしていて、自分も習わないといけないなと感じます。「このくらいでいいか」と思いがちなんですけど、メンバーの人たちの姿勢を見ていると「正さないといけないな」と思います。その追及していく姿勢が、ハロプロの魅力です。
つんく♂:代弁者として、彼女たちがこちら側のメッセージを伝えてくれる。大人であったり、男性であったり、おじさんが直接言うとこじれることも、彼女たちのフィルターを通すとこじれなかったり、説得されたり、傷つかなかったりします。ただ、それは“便利に使っている”というわけではなく、彼女たちの未来にも寄り添うようにやってきました。今は全てのハロー!を背負っているわけでないので、イコールではないんですが、そもそもは“もう一人のつんく♂”というような気持ちで楽曲を作っていました。
僕のさまざまな面をいろんなチームが、楽曲を通じて社会に訴えかけてくれる。もしくは、自分たちの生き方として表現してくれる。それがハロプロです。
――「今回はドラマ化されていないけど、ドラマ化してほしい」という楽曲はありますか?
北野:ギリギリまで候補でモーニング娘。'14の「君の代わりは居やしない」(2014年)という曲が上がっていました。僕も個人的にすごく好きで、オリンピックの公式応援ソングとして書かれていた部分があったと思うんですけど、例えば、会社などで自分の価値を見出せていない人が上司から「君の代わりは居やしない」って言われたら刺さるんじゃないかなと思っています。環境に対して、自分の価値を見出せてない人がそのメッセージで励まされるのは面白いなと。すごくやりたいですね。
つんく♂:もう2000曲くらい作ってきて、どの曲も思い入れはあるのでどれか一つっていうのは難しいですね(笑)。知ってほしい曲はたくさんあります。「LOVEマシーン」や、ミニモニ。、プッチモニとかのミリオンセラーはみんなに知っていただいているし、確かに手ごたえもあっていいけど、売れていなくても良い曲があるので、そういうのも演じてほしかったなと思ったりもします。あり過ぎて、難しいなぁ…(笑)。
少し前の曲やけど、モーニング娘。’21の「よしよししてほしいの」(2021年)のメッセージなんかもドラマにはなったとは思います。