真野恵里菜が主演を務めるドラマ「この世にたやすい仕事はない」が、毎週木曜夜11時からNHK BSプレミアムで放送中。主人公・かすみを演じる真野が、作品の見どころやかすみとの共通点などについて語ってくれた。
本作は、芥川賞作家・津村記久子の同名小説が原作。かすみが、紹介された奇妙な仕事に携わっていくうちに働く意味を見いだしていく姿を描く。
かすみは、これまで“バスのアナウンスの仕事”“おかきの外装の仕事”に従事。5月4日(木)、11日(木)に放送される第5、6話では“ポスター貼りの仕事”に挑む。
――かすみを演じるに当たって、心掛けている事はありますか?
色をハッキリさせないように!と心掛けていましたね。短期のお仕事を転々とするっていうこともあり、かすみはどこかフワフワと漂っている感じがあるので。また、周りがキャラの濃い方ばかりなので、かすみの色は濃過ぎない方がいいのかなと思いました。
お芝居をいている中で「ちょっと、ここでアドリブを入れたいな」とか「このシーンはコメディーっぽくしたいな」とか思うんですけど、物語を通してかすみはずっと映っているので、ブレちゃいけないなって。ですので、少し難しかったですね。フワフワして見えるかもしれないですけど、逆にかすみが頼りないからこそ周りの人の濃さが際立って、ちょうど良くなったかなって思います。
――今回の役は比較的等身大に近いと思いますが、そういう役を演じてみてどうでしたか?
ここ最近は気が強かったり、元ヤンだったり、キャラが際立っている役が多かったので、等身大に近い方が逆に難しかったですね。監督とも話をさせていただきながら、キャラを作っていきました。かすみは精神的にあまり安定している子ではないので、人と目を合わせなかったりとか、とんちんかんな事を言ったりとか、人間臭さのような面を出せたらなって思いました。
私自身、かすみの熱さは見習わなきゃなって思いましたけど、演じてても「この発言は、相手をちょっとイラッとさせちゃうだろう」とか、恋人の純(塚本高史)に対しても「そういう言い方は、しちゃいけないんじゃないかな」っていうのを感じていましたね。
――普段の真野さんは、どんな感じなんですか?
私は思った事をズバズバ言うタイプなので、友達と議論になることもありますね。感情を隠して、取りつくろって人と向き合うことがあまり好きじゃないんですよ。友達同士でも間違ってるって思ったら、「それ多分、向こうにはこう聞こえてたと思うよ」みたいに指摘することもあります。考え方とか人それぞれ違うので、言葉を交わすことがすごく好きですね。
でも、たまに言い方がキツかったかなと思うこともあります。先日も母親との電話で「何でお母さんは、いつもそうなの!?」みたいに強く当たってしまったんですよ。母親に「そんなふうに言わないでよ」って言われて、電話を切った後「ちょっと言い過ぎだったな」って反省しました。そういう事がよくあります(笑)。
――真野さんがかすみと似ている部分はありますか?
似ている部分よりも異なっている部分の方が多いですね。私は、仕事に全力で取り組みながらも休みの日は休みの日で嬉しいですが、かすみは休むことすら嫌に思ってしまうところがあります。自分が休んでいる間にも競っている相手は仕事をしているとなると、上司から「休んでください」と言われることに反発してしまうんですけど、私は「しばらく休みがないから、そろそろ休みが欲しいな」と思いますね。
でも、仕事との向き合い方や距離感の取り方などは、かすみを演じることで勉強になりましたし、考え直すきっかけになりました。