歌いたい場所も想像しながら作りました
長屋「原曲は2年ぐらい前にあったってこともあって、『陽はまた昇るから』とのバランスは全く考えてなかったんです。でもレコーディングが終わってから、両方とも時間をテーマにしてるしリンクしているって気付きました」
穴見「『時のいたずら』はみんな元々すごくいい曲だと思っていて。でも出すのは今じゃないと思って置いておいたんですよね」
小林「この曲をカップリングで出せる緑黄色社会すげえなって感じの曲だよね」
長屋「何もひねくれることなく真っすぐに届く歌にしたいなと思ったので、アレンジも使っている言葉もすごくシンプルなんです。届けたいメッセージも簡単で、簡単だからこそ、普段伝えるのが難しかったりもする。それを自信を持って伝えたかった。あと、歌を歌うということについて意外と歌ってこなかったなって思って。今年は結成十周年という区切りでもあるので、改めて自分たちが音楽をやる理由や歌う理由を考えてみました。
この曲を歌いたい場所も想像しながら作りました。最初は時間っていうものだけをフィーチャーした曲だったんです。『どうせ終わるのに、何でこれをやるんだろう?』って思うことがたまにあって。それと、自分の中で友達を作ることに対して、どうせいつかは離れていっちゃうんだから新しい関係を築くのが怖いという感覚が強くあって。だから何か新しいことを始めるのも怖かったんです。でも、それって自分で壁をすごく作ってるし、向こうから離れるんじゃなく自分から離していたなと。友達になったのに、急に『この人、私のこと嫌いなんじゃないか』と思い始めてシャットアウトしたりしていたんです。でも、別に嫌われてたわけじゃないことが分かったし、仮にその関係が終わったとしてもそこで人生が終わるわけじゃない。『陽はまた昇るから』の話にも出ていましたけど、10代のときとかすごく狭い世界で生きてるから、目の前の関係が全てだと思っちゃうところもあるけど、大人になると他にも世界はあるって思える。その変化か大きかったかもしれないです。音楽を作ることに対しても、この曲はいつかはなくなってしまうかもしれないけど、私が楽しい瞬間があったり、誰かが楽しんでくれる瞬間があるなら意味があるって思えるようになりました」
穴見「2年前にこの曲を聞いたとき、特にBメロの部分で、『第六感的に思ってはいたけど長屋が言語化してくれた』っていう気持ちになりました」
長屋「今私たちがなぜ音楽をやっているかって、元を辿ればただ楽しいからというシンプルな理由なんですよね。それさえあれば充分だなと。そういうのって何に対しても言えることでもある気がしていて。今年結成10周年を迎えて、私たち4人や私たちの音楽を聴いてくれている皆さんとの関係性に対してありがたみを感じたときに、Bメロで言ってるようなシンプルな想いが溢れてきました。今はまだ難しいですけど、いつかみんなでその箇所だけオケも抜いてアカペラで歌いたいっていう画も浮かびましたね」
取材・文=小松香里
収録曲●陽はまた昇るから/時のいたずら/陽はまた昇るから-Instrumental-/時のいたずら-Instrumental-
緑黄色社会=写真左からpeppe(Key.)、穴見真吾(Ba.)、長屋晴子(Vo.&Gt.)、小林壱誓(Gt.)。高校の同級生だった長屋と小林とpeppe、小林の幼馴染の穴見で2012年に結成。2013年に10代限定ロックフェス「閃光ライオット」準優勝を機に本格的に活動をスタート。2018年に1stアルバム『緑黄色社会』をリリース。以降、映画、ドラマ、CM曲に多くの楽曲が起用され話題に。アルバム『Actor』が発売中。現在6月まで続くホールツアー「Actor tour 2022」を開催中。
公式HP=
https://www.ryokushaka.com/