6月17日(金)公開の映画「峠 最後のサムライ」完成披露試写会が5月2日に東京都内の劇場で行われ、舞台あいさつに役所広司、松たか子、小泉堯史監督が登壇した。
「非常に考えさせられる時期の(映画)公開になった」
同作は、司馬遼太郎の小説「峠」を映画化したもので、戊辰戦争で西軍5万人にたった690人で挑んだ幕末の風雲児、河井継之助の最後の1年を描く。慶応4(1868)年、鳥羽・伏見の戦いを皮切りに戊辰戦争が勃発。越後の小藩、長岡藩の家老・河井継之助(役所)は、東軍・西軍いずれにも属さない武装中立を目指す、というストーリー。
登壇した役所は、延期を経てやっと公開が決まったことに触れ、「いろんな事情があって公開が遅くなってしまいましたけども、この映画の持つメッセージにおいては非常に考えさせられる時期の公開になったように思います。1人でも多くのたくさんのお客さんに見ていただけるよう、皆さんのお力をお貸しください」とあいさつ。
「21世紀に生きるわれわれの心に響く言葉がたくさん詰まっています」
また、演じた継之助について「この河井継之助さんの判断で戦争になって、残念ながら長岡は焼け野原になったわけですけども、河井継之助さんが思い描いた国造りというのはすばらしいものだったと思うんです。彼の未来を見据えた毅然とした態度から出てくる決断力っていうのは、リーダーとして理想だと思います」と明かした。
ほか、「シナリオを読んだらせりふが膨大で…」と苦笑しつつも、「『(膨大なせりふに)立ち向かっていくことが僕の今回の役割だな』と読んだ時から思っていました」と裏話を披露。
最後に、役所は「『侍という人間像は、日本人が生み出した人間の芸術品だ』と原作者の司馬先生が言ってらっしゃって、その侍の典型をこの河井継之助に託して『峠』を書かれたそうです。この映画は、21世紀に生きるわれわれの心に響く言葉がたくさん詰まっています。どうぞ楽しんでください!」とアピールしてイベントを締めくくった。
(取材・文/原田健)