“トラブルだらけ旅”をクススク笑いに変えるツッコミ力
たとえば記念すべき初回「秩父釣り三昧の旅」。事前の会議で旅の目的を「長瀞で釣りをする」に決め、「全然釣れてないのに”来た!?“みたいなリアクションはやめよう」など約束を交わしてから、後藤の愛車(アウディ)に全員乗って早朝に出発。
しかし、長瀞は既に釣りの季節が終わっており、禁漁中で川釣りはできないことが判明。釣具屋も軒並み閉まっているなか、なんとか釣り竿を調達し、営業している釣り堀に向かうも、車載カメラのバッテリーが切れてしまう。夕方近くになってようやく釣りができたが、草薙が自腹で買った釣り竿(「翡翠 冴」27,000円)がポッキリ折れて旅は終わった。
また「横浜ドミノ旅」ではコロナ禍で遠出できないため、ホテルのスイートルームで4,000個のドミノを並べる羽目になったし、「後藤が草薙をもてなす旅」では草薙が犬アレルギーなことを忘れて、後藤とスタッフが犬と宿泊できる一軒家ホテルを予約してしまい、滞在わずか4分でホテルを探し直すことになった。
草薙も後藤もツッコミ気質なのだが、積極的に前へ出てツッコんでいくタイプではない。でも「ハネノバス」では、2人ともツッコミの羽根を伸び伸びと伸ばしてくれる。低い温度で「なんですかこれ」と指摘する後藤に、「お、俺もおかしいと思ったんだよ……!」と声を荒げる草薙。ゆったりしたテンポのボヤキが、トラブルをクススク笑いに変えてくれる。
芸歴では草薙が少し先輩、という関係性もいい。犬ホテル事件では「カメラが止まったら本気で謝らせてください」と猛反省する後藤に、草薙は「いいよ別に(笑)」「めっちゃ面白いけどね」と爆笑しながらフォロー。逆に、草薙が釣り竿を折ったときは、後藤は(取れ高ができた!)という顔で生き生きと振る舞っていた。
旅を重ねるごとに、草薙と後藤、そしてスタッフとの関係性が深まり、やりとりも遠慮のないものになっていく。その究極が、最新作「北海道カーリング合宿旅」だろう。この旅、なんとディレクターが収録中に骨折してしまうのだ。