溢れるアイデアをカラフルなサウンドと表現力豊かなボーカルで彩るアーティスト、ビッケブランカがデビュー5周年のアニバーサリーイヤーを迎えた。
ビッケブランカといえば、ドラマ挿入歌として話題となった「まっしろ」のようなしっとりとしたバラードから、音楽ストリーミングサービス・SpotifyのテレビCMソングとなったカオティックなアップチューン「Ca Va?」まで、音楽ジャンルを軽々と飛び越えて、自由自在に音と言葉を紡ぐ表現者として音楽ファンから信頼を集めている。
そんな彼が、その節目となる5周年の最終コーナーを飾るにふさわしい最新EP『United』を完成させた。EPのリード曲で、夏感が瑞々しいポップなラブソング「This Kiss」は、ドラマ「あなたはだんだん欲しくなる」(BS-TBS)主題歌に起用されるなど、収録された4曲全てにタイアップがつく豪華盤だ。新作についてはもちろん、これまでの歩みや8月から始まる全国ツアー「THE TOUR 『Vicke Blanka』」に込めた想いについてもじっくりと伺った。
僕にとって、メロディーやリズムはとても大事なもの
「もともと『This Kiss』は、ドラマのために書き下ろしたというより、このEPのリード曲になるような、8月から始まる全国ツアーに向けて楽しくなれる曲を創りたいと思ったのがきっかけで作ったものです。
曲の冒頭で『LOVE!』と叫んだのは、聴く人が日常の中で曲を再生したとき、一瞬にして違う所へ連れていけるような、強いフックがあるといいなと思ったからなんです。デビュー曲の『ウララ』で変な声を入れたのも、そういう意図がありました。
それに、『LOVE』はもともと僕の口癖でもあって(笑)。例えば、美味しいマカロンをいただいたときにもつい口から出るし、いわば“いいね”みたいな、心がいい感じに動いたときに口から出てくる言葉なんですよ。ラブのブでは、ビブラート利かせて歌っているので、案外やってみようとすると難しかったりします。ぜひ、試してみてください(笑)」
ハッピーな気分を、聴いてくれる人にもナチュラルに分かち合いたいという気持ちが、「LOVE!」となって表出したのだろう。この曲に限らず、キャッチ―なメロディーや曲に備わるリズム本来が持っているノリを活かせるよう、歌詞を書くときにも言葉を選んでいるという。そのため、何とも耳心地の良い歌詞が生まれるようだ。
「僕にとって、メロディーやリズムはとても大事なものだから、普段歌詞を創るときはメロディーになじみの言い英語詞を最初に書いて、その英語の語感やリズムを崩さないように心掛けながら、意味としても成立する日本語を選んでいくことが多いです。
ただ、『This Kiss』は、ちょっといつもとは違って、書き方がセクションごとに違っていました。例えば、Aメロは英語でつけた歌詞を日本語に置き換えたものだけど、Bメロは言葉も同時に出てきたものだったりする。サビでは、歌詞を先行して書いていきました。3つの方法を同時に使ったことは、今までほとんどやったことがないと思いますね。
作詞では、音感やリズム、繰り返し性を大事することが多いけど、例外もありますよ。EPの2曲目『魔法のアト』のサビの部分は、同じメロディーで1番、2番は“2人の影だけ鏡に映して”と歌っているので、3回目も“心を返して”の方が、語尾が“エ”で終わるので、ハマりもいいし韻も踏めます。でも、自分がデモで歌っているときに、もっと強烈な思いがそこにはあるなと感じた。だから、リズムとかを犠牲にしてもいいから“返してよ”にしました。セオリーではなく、“よ”という訴えかけるワードが必要だと歌詞が求めている気がしたというか。リズムとメロディーは、『じゃあ、今回はいいよ』と譲ってくれた感じですね」
United 8/24(水)発売 エイベックス 3630円
収録曲●(Disc1)This Kiss/魔法ノアトほか全13曲収録(Disc2)夢醒めSunset/ポニーテイルほか全10曲収録
公式HP
https://vickeblanka.com/