ラウドで荒々しいサウンドとエモーショナルで叙情的な旋律、それを可視化するような繊細で想像性あふれる歌詞が織りなす独自の世界観で、多くの音楽ファンを魅了するバンド、9mm Parabellum Bullet(以下、9mm)。
このたび、「DEEP BLUE」以来3年ぶり、9枚目となるオリジナルアルバム『TIGHTROPE』を完成させた。全10曲の収録曲の中には、夏フェスで盛り上がること必至の弾けるようなアップチューンから、別れの切なさが染み入るバラードまで多彩だ。この色鮮やかで美しくも深淵な作詞をすべて手掛けたボーカル・菅原卓郎に、本作に込めた想いを聞いた。
まずは、これまでことあるごとに「9」という数字にこだわってきた彼らが、9作目のアルバムに「9」を入れなかったのかについて素朴な疑問をぶつけてみた。
9枚目のアルバムだから、よっぽど9がつくタイトルにしようかとも思った(笑)
――3年ぶりのアルバムタイトルをなぜ「TIGHTROPE」にしたのですか??
菅原:僕らはいつもアルバムを作るとき、曲が大体できてきて全体が見えたときにタイトルを考えるんです。ちょうどそのころ、収録曲「タイトロープ」の歌詞を書いていて、歌詞の中にTIGHTROPE、つまり綱渡りの綱という言葉が出てきました。僕らを含めて、世の中が過ごしてきたこの3年間は、綱渡りしながら過ごしてきたようなものだなと思ったし、その中でどんな気持ちになったんだろう…と、どんどんイメージが広がっていったんですよ。
それで、まず曲名を「タイトロープ」にしようと思いました。そして、アルバム全体を俯瞰してみたとき、その言葉がふさわしいなと感じた。9枚目のアルバムだから、よっぽど9がつくタイトルにしようかとも思ったんですが(笑)、そうした期待にこたえるのもなんか恥ずかしいじゃないですか。それよりも、「TIGHTROPE」の方がふさわしいと思ったから正直に付けた感じですね。
――というと、収録曲はコロナ禍で作られたものですか?
菅原:曲は滝(善充)が作るので、もっと前から温めていたものがあったかもしれませんが、完成させたのは全てこの3年間ですし、歌詞もそうです。
そもそも、アルバムを作ろうと決まると、まず滝が「これをやったらバンドが楽しい」というデモ曲を選ぶんです。それを聴いて、「これを今やったら新しいことができる」と感じた曲を選んでいくんです。そこからアレンジを詰めていき、ドラムやベースを録ります。オケの完成形が見えてくるころに歌詞を書くことが多く、歌入れ直前になることもありますね。「タイトロープ」はまさにぎりぎりのなかで書いたので、実際にTIGHTROPEな感じでちょっと恥ずかしい。
――「このテーマや、こんな物語について書こう」と、事前に歌詞を書くことは少ないのですか?
菅原:それもありますが、そうやって事前に書いたのは多分、これまでに2、3曲しかありません。オケのレコーディングが完成形に近づく方が、歌詞のイメージが湧いてきますね。音をたよりに、「この曲に対してこの歌詞を書こう」とか、「この曲はこのテーマをはらんでいるな」と直感的に受け取る感じです。
あと、スタッフとの会話からヒントをもらうこともありますね。「All We Need Is Summer Day」は、聴いたときに元気のいい曲だなと思ったんです。そんなときに、「夏フェスで盛り上がるようなイメージが浮かぶ」という言葉を聞いて、確かにそうだなと納得できたので「それ、もらい!」って感じでした(笑)。
TIGHTROPE
9mm Parabellum Bullet 3300円 日本コロムビア
収録曲●Hourglass/One More Time/All We Need Is Summer Day/白夜の日々/淡雪/Tear/タイトロープ/Spirit Explosion/泡沫/煙の街
公式HP
https://9mm.jp/