映画「沈黙のパレード」のジャパンプレミアイベントが8月31日に都内で行われ、福山雅治、柴咲コウ、北村一輝が、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、岡山天音、川床明日香、出口夏希、檀れい、椎名桔平、西谷弘監督と共に登壇した。
会場のビジョンにスペシャル映像が流れた後、キャストと監督が2台のリムジンから降車。観客に手を振ったりしながら、イエローカーペットを歩いてステージへ。
福山雅治&柴咲コウ「帰ってまいりました!」
福山は「帰ってまいりました。湯川学役、福山雅治です。コロナ禍で、完全に終息したとは言えない中で、エンターテインメントの大切さや必要性を感じて過ごしてきた2年数カ月でした。そんな中でも、皆さんとお会いできて、『沈黙のパレード』を見ていただけるということでうれしく思っております。楽しんでいってください」とあいさつ。
内海役の柴崎は「帰ってまいりました!」と笑顔であいさつ。そして、「私がこの作品を試写を見た時に、心の奥底の温かい部分が震えまして、人を愛すること、愛されること、それを貫けないこと、悲しみ、憎しみ、いろんな思いがウワーって巻き起こりました。きっと皆さんもいろんな感覚を揺さぶられるようなすてきな映画になっていると思います」と自身が感じた思いを伝えた。
草薙役の北村は「この映画、最高です。ここにいる(キャストの)みんなが試写を見た時にグータッチするぐらい、自画自賛したいぐらいの作品になっています」と完成した作品を称賛。
映画化が決まった時の気持ちを聞かれた福山は、「映画化の話が届く前に原作となった新作が出たので、その時点で、恥ずかしながら“これはあれがああなるのかな”って期待しながら読みました。読みながら“これは僕のことだよね”って」と、それ以前から映画化を期待していたことを明かした。
“湯川”との9年ぶりの再会に、柴咲は「撮影初日、結構掛け合いがあるシーンから始まったんです。でも、福山さんはドラマ(スペシャルドラマ「ガリレオ 禁断の魔術」)を撮られていたので、すっかり湯川先生だったんです。そこに久しぶりの“内海薫”をまとった私はやっぱり緊張しました。描かれていない年月があるので、その間、薫さんはどうやって生きてきたのかなって、クランクイン前から想像を働かせていたんですけど、目の前に完全なる湯川先生が現れたので、『よし、やらねば!』という感じになりました」と実は緊張していたことを告白。
福山は「久しぶりに会えてうれしかったですね。内海くんは湯川を作っている存在ですから。内海くんとの掛け合いの中で『あ、湯川さんはこういう人なんだな』と分かるんです。それは草薙もそうなんですけど、3人のコミュニケーションの中で湯川像が作られていくのでうれしかったです。いい意味で、ツッコんでくれるので(笑)」と笑顔を見せた。
苦悩するシーンが多いという草薙役の「話自体が重かったりするので、ちょっとやつれていったり、そういう部分は努力しました。今回、トライアングル(湯川と草薙と内海)という部分ではすごく図式が見えやすかったです。二人でいる時は何気に直接言えないけど、間に薫が入って気持ちを伝えてくれるんです。サスペンスというより人間ドラマになっています」と、注目ポイントに3人の関係性を挙げた。
原作・東野圭吾氏とグータッチ
初号試写では、原作者の東野圭吾氏も作品を見に来ていたという。福山は「先生はちょうど僕の前の席に座ってらしたんですけど、原作者である東野先生がどういうふうに映像化された作品をご覧になるのかと思って、すごく緊張しました。そして本編が終わり、我々が担当させていただいているKOH+(コープラス)の主題歌「ヒトツボシ」が流れ終わり黒落ちしたら、満席だった試写室の中で最初に拍手をしてくださったのが先生だったんです。それで一斉に全員がウソのない熱い拍手が巻き起こり、先生がおもむろに僕の方を振り返って“グータッチ”。ホッとしました。自信をもって皆さんに届けられると、その瞬間に思いました」とその時の様子と自身の心境を語った。
最後は、福山が「まさか2022年まで続くとは思っていませんでした。こうやって十数年たっても東野先生が描く世界観の住人として生きてられることを、一人の人間としても、お芝居をする人間としても、うれしく思っております。一つの作品が長く続くのは、愛情の積み重ね、愛情の連鎖があるからこそだと思います。みんなで丁寧に深い愛情を込めた作品になっています。どうぞ受け取ってください。よろしくお願いします」というメッセージで締めくくった。
本作は、変人だけど天才的頭脳を持つ物理学者・湯川学(福山)が、不可解な未解決事件を科学的検証と推理で見事に解決していく「ガリレオ」シリーズ(原作:東野圭吾)の最新作。湯川のバディ的存在の刑事・内海薫(柴咲)、内海の先輩刑事・草薙俊平(北村)が9年ぶりに再集結した。
映画「沈黙のパレード」は9月16日(金)より全国公開。
◆取材・文=田中隆信