心情の変化に関しては丁寧に取り組みました
――「私」と明石さんの恋の行方も気になるところ。
12年前のアニメ「四畳半神話大系」は湯浅(政明)監督が作っていて、非常にクールというか硬派でカッコいいんですよ。あれから12年たって、森見さんが描くキャラクターも変わっているということもあって、その変化はちゃんと意識して作らないといけないなと思いました。
そう考えると「私」と明石さんの関係性については恥ずかしがらずに正面からストレートに描くべきだなと。青春ものですから結果的に軟派な感じにはなると思うけど、2人の恋の行方、それぞれの心情の変化に関しては丁寧に取り組みました。
――「私」が一歩を踏み出す流れがとても自然ですよね。
「私」自身の変化やストーリーの中での変化をどう表現するのか。「私」を演じる浅沼(晋太郎)さんも最初はちょっと戸惑っていましたけど、自分はこんなふうにしたいという思いなどを話し合いながら一緒に作っていきました。
明石さんはいつもの明石さんでありながら、「私」が起こしたアクション前とアクション後では明確に違ってくるので、明石さん役の坂本(真綾)さんにはその部分を意識しながら演じてもらいました。
もっさり感がぴったりなんです
――声の芝居という点では田村くん役が、「サマータイムマシン・ブルース」の舞台版と映画版で同じキャラを演じた本多力さんというのはドンピシャなキャスティングですね。
田村くんは、本多さんでしか成立しないかなと。本多さん以外の選択肢はなかったです。アフレコもとても自然で私からは何も言うことがありませんでした。
――出てきた瞬間から本多さんですもんね。
そう!そうなんです。あのもっさり感がぴったりなんです。
――個人的に気になるキャラクターはいますか?
やっぱり田村くんですね。未来から来ているのに、全くSF的な人物じゃないじゃないですか(笑)。そこが面白いし、結末を知るとそのキャラクターの深みっていうか愛着が増したりする。
劇中で「私」に褒められる場面があるんですけど、その時の「エへへ」っていう笑い方が本当にうれしそうなんですよ。何回見てもかわいいんです。
――「私」役の浅沼晋太郎さんは、本作の公式サイトで「四畳半神話大系」が声優としてのターニングポイントだと仰っていますが、夏目さん自身の転機は?
自分も演出としてのターニングポイントは「四畳半神話大系」ですね。第6話の演出をやらせてもらって自信になりましたし、それがきっかけで仕事も増えたんです。それと湯浅さんに出会えたことも大きい。湯浅さんからはもちろん、制作現場で才能豊かな人たちと一緒に仕事をしながらいろんな技術や手法を学ぶことができました。
――劇中に出てくる学生たちに共感できる部分はありますか?
「私」はクサレ大学生ですけど「四畳半神話大系」に参加していた頃の自分もクサレアニメーターでしたから(笑)。全然売れていないしお金にも困っていました。
ヘンな話、アニメとかって子どもみたいな人たちが作っているんですよ。自分も含めていつまでたっても大人になれないような人たちが。だから、仲間内の会話なんて「四畳半神話大系」の学生たちと同じような感じ。そういう意味では共感できるところはあるかもしれないですね。
――最後に、配信限定エピソードの見どころをお願いします。
自分的なテーマとしては「四畳半神話大系」の中に入っている“1つの話”みたいな感じで鉄道研究会がモチーフになっている物語です。
実は、それはこの「四畳半タイムマシンブルース」の前日譚のような話で「四畳半神話大系」シリーズの1本として見始めたんだけど、途中から今回の作品につながっているような見方ができるストーリー展開に。TVシリーズでも絵コンテと演出を担当した名演出家の横山(彰利)さんが手掛けた回でもあるので、どこか懐かしさも感じられるエピソードになっているのかなと思います。
◆取材・文=月山武桜
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