執筆の仕事がなかったら…「私、アナウンサーを続けているかわからないです」
――テレビではある程度、番組の方向性やコンセプトに則ったキャラクターを演じる必要がありますよね。
そうなんですよ。テレビでの私の発言は、何百もの人の手がかかって世に出ているものなわけで。「一を聞いて十を知る」という言葉もありますが、体感的には一も出ていない気がします。たとえば「あざとくて何が悪いの?」も、あざといキャラクターの立ち位置を任されているから、やっているわけですから(笑)。だからこそ、テレビを見て私の人となりを決めつけられるのは、ちょっと心外というか、「職業として、アナウンサーの弘中綾香として仕事をしているだけだから!」とも思います。
でも執筆に関しては、私が1語1句全部書いたものなので、エッセイを読んで「弘中ってこういう人間なんだ」と受け取ってくれることに対しては何も思いません。そういった意味でも、文章を書いて発信できる仕事をさせていただけたことは、本当に大きかった気がします。これがなかったら私、アナウンサーを続けているかわからないです。なんかもう、嫌になっちゃってると思う(笑)。
――そういった苦労がありながらも、アナウンサーを続けている理由は何なのでしょうか。
楽しいは楽しいんですよ。スタッフの方と腹を割ってしゃべれたりとか、私も番組に参加しているっていう気持ちがあったりとか。“チーム感”が楽しいのかもしれません。あとは、先輩後輩に恵まれているということもあります。
弘中綾香、人生は“他人任せ”「アイデアマンではない」
――弘中さんは今後、局のアナウンサーとしてどんなことに挑戦していきたいですか。
何ができるんですかね…。私って、アイデアマンではないんですよ。会社にアイデアマンはたくさんいて、「弘中にこういうことをやらせたら面白いと思う」という企画に乗っているだけというか。自分から「これがやりたい」というのはなく、「アイデア待ち」なんです(笑)。たとえば「激レアさんを連れてきた。」にしても、もちろん私から「自分はホワイトボード書くのが上手いと思います」と言ったわけではないですから(笑)。
――与えられたポジションをしっかりとこなす、と。
よく言えばそうですけど、本当にそんなに大層な人間じゃないんです。もうちょっと「0→1」ができればいいんですけどね(笑)。0から生み出す才能はないですし、きっと、人から与えられたほうがいいんだと思います。振り返ってみると、アナウンサー試験を受けたのも、周りから「受かるとカッコイイよ」と言われたからですし、そういう人生なんです (笑)。結局私の人生は、“他人任せ”なのかも知れません。
――最後に著書について、メッセージをお願いします。
目標がなくて、「これでいいのかな?」と悩んでいる人に読んでほしいです。きっと「これでいいんだ」と思えるはずなので(笑)。
文=こじへい