作家・森見登美彦の小説「四畳半神話大系」と、ヨーロッパ企画の代表・上田誠の戯曲「サマータイムマシン・ブルース」が“悪魔的融合”を遂げて誕生した「四畳半タイムマシンブルース」。9月14日よりアニメが配信開始し、9月30日(金)には劇場公開も控える本作は、上田が「四畳半神話大系」に続いて今作でも脚本を手掛けており、主人公の「私」を含めて、登場人物も「四畳半神話大系」でおなじみのキャラばかり。“趣向が違う続編”的な楽しみ方をしている人も多いはず。9月28日(水)に配信される第3話も気になるところだが、その前に「私」の声を演じる声優・浅沼晋太郎にスポットを当てて紹介する。(以下、第1・2話のネタバレを含みます)
オンボロアパートにタイムマシン
盆地特有の灼熱の夏を迎えている8月の京都・左京区が舞台の本作。オンボロアパート・下鴨幽水荘で唯一クーラーのある部屋「209号室」に幸運にも移れることになった「私」だったが、悪友・小津(CV:吉野裕行)がリモコンに飲み物をこぼしたせいで壊れてしまい、無用の長物に。クーラーが使えなくなり困っている時、なぜかタイムマシンを発見してしまう。試しに小津が乗ってみるとどうやら本物のタイムマシンらしい。実は25年後の未来からやってきた謎の青年・田村(CV:本多力)が乗ってきたものだと判明する。
タイムマシンを有意義に使う方法を考え、「昨日に戻って、壊れる前のリモコンを入手する」という結論に至った。小津をはじめ、個性の強い人物ばかりなので、そうすんなりとはいかないのは見えているが、さてどういうふうになるのだろうか。
遅咲きの声優デビュー
そんな個性豊かなキャラの中で中心に位置する「私」の声を担当する浅沼は、2006年に放送されたロボットアニメ「ゼーガペイン」の“ソゴル・キョウ”役から本格的に声優活動を始動。それまでは劇団を結成し、脚本も含め演劇活動を行ってきたので、30歳という遅咲きの声優デビューとなった。
2007年からはエンターテインメント・ユニット「bpm」に参加。bpm作品の全脚本と演出を担当するなど、表に立つだけでなくクリエーターとしての才能もいかんなく発揮しており、舞台作品以外にも映像作品の脚本、イベント用脚本、CDドラマ脚本と実に多才なところを見せている。「第十三回声優アワード」にて、ヒプノシスマイクとして歌唱賞を受賞したことも記憶に新しい。
ターニングポイントとなった「四畳半神話体系」
そして2010年に放送された「四畳半神話大系」は大きな転機となった作品と言えるだろう。「四畳半神話大系」「四畳半タイムマシンブルース」を見た人は感じていると思うが、“超絶早口”が浅沼の演じる「私」の大きな特徴となっている。
「ここに断言する。いまだかつて有意義な夏を過ごしたことがない」「綿密な計画 早寝早起き 肉体的鍛錬 学問への精進が不可欠なのである」など、「四畳半タイムマシンブルース」の第1話冒頭からわずか1分ほど視聴するだけでもそのすさまじいセリフ量を体感することができる。
「四畳半神話大系」でも「高野山と鴨川に挟まれた三角地帯に位置する下鴨神社〜」と始まる冒頭のナレーションはまさに“怒涛(どとう)”という言葉が似合うものだった。そういう意味で、浅沼の早口セリフを聞くだけで“四畳半”の世界に戻ってきた感覚になれるのである…と、口調までうつってしまうぐらいの勢いを感じる。
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