今年4月にアーティストデビュー10周年を迎えたシンガー・鈴木このみのライブが2022年10月1日に日比谷野外大音楽堂で行われた。ライブ活動に苦戦を強いられる情勢の中でも、配信ライブやZeppツアー、フルアルバム発売、さらには日本最大のアニソンフェス「Animelo Summer Live」で初のトリを飾る…など進化を止めなかった鈴木このみ。そんな彼女が真価を発揮するライブの場を誰よりも待ち望んでいるファン達が、最高の秋晴れの下に集結した。
一曲目「Love is MY RAIL」で4年ぶり野音ライブの喜びを、曇りのない歌声で爆発させ、「This game」「Mirror,Mirror,Mirror」としょっぱなから強曲を続ける。野性爆弾くっきー!がまさかの歌詞提供をしたモンスターチューン「ダメージ小でした」でトラメガ片手に暴れると、ビアジョッキに持ち替えて、自作曲「Humming Flight!」で華やかに10周年を乾杯してお祝い。ダンサーも交えて、会場はまるでオクトーバーフェストに。
「無事に晴れたー!」と和やかなMCの流れでちらっと袖を見たかと思えば「…ま、いっか!言っちゃお。実は新曲制作もしてたり、色々忙しくしています!」と、客席を沸かせる鈴木。10月26日発売の新曲「Love? Reason why!!」もライブ初披露された。Q-MHzサウンドプロデュースのラブソングは、稲妻に打たれたようなどうしようもない恋の衝動を歌っている。バンドメンバーである岸田勇気が編曲に、櫻井陸来が演奏に参加していることもあり、バンド陣も初披露に熱が入った。「恋しちゃえよ!」とはにかむ表情に、会場もハートを掴まれた。
更に「この夜空にぴったりな、秘密の曲を用意してきたんです」のMCから完全新曲「Secret Code」を披露。チルな雰囲気もあるシティポップサウンドに、柔らかな歌声を纏わせた。夜の空気に寄り添うように「明けない夜に」を歌った後は、「命の灯火」で一気に火を灯し、アルバム表題曲「ULTRA FLASH」でスパークさせた。草野華余子がサウンドプロデュース、編曲にBRADIOらが参加したご機嫌なナンバーに気を良くした鈴木は、「良いこと思いついちゃった」とニヤリ。コーラスに合わせたダンスをばっちり予習してきた観客を3人客席からピックアップ、ステージ上に招き入れて一緒に歌うというサプライズを!このライブを誰よりも楽しんでいる様子。
アーティスト活動を続けるうち、ここ数年で自身の表現の燃え方が変化してきたことに気づいた鈴木。“今”しかできない輝きを見逃してほしくない、出し惜しみしたくない、という想いで制作した「命の灯火」「ULTRA FLASH」の2曲は特に、鈴木このみが新体制へ踏み出す強い後押しになった曲に違いない。7月1日より個人事務所を立ち上げ、代表取締役として自分自身の活動に責任を持ちながらやり切る、という選択をした鈴木。「だから今ちゃんと見てて 僕のことを」と真っ直ぐ心へ届けてくる彼女の姿にファンは心惹かれ、その輝きの進化をいつまでも追いかけたくなるのだろう。
アンコールでは、デビュー当時から大事にしてきた衣装たちをリメイクしたスカートで登場。「賑やかにお祝いしてきたけど、10周年が通過点だったなと思えるように、11年目もわくわく沢山作っていきたいと思います!」と、ギターを抱えてソファに深く座り、本人作詞曲「あなたが笑えば」をギターで弾き語った。部屋での鈴木を再現しているような演出を見せたかと思えば
「Bursty Greedy Spider」をかましたのち、「プランを変更します!やる予定はなかったんだけど……10周年だし」と急にバンマスへ耳打ち。勢いよく「DAYS of DASH」をタイトルコール。「Redo」まで畳み掛け、最後まで観客を振り回す。興奮のうちに、LOVELY HOURは幕を閉じたのであった。
来年の11月5日、鈴木の誕生日当日もライブハウスを抑えてある、と緊急告知し、次の楽しみも観客の心に届けていった。真っ直ぐさも予想のつかなさも持ち合わせた、鈴木このみの魅力がぎゅっとあらわれた愛らしい一夜であった。
1. Love? Reason why!! 作詞・作曲:Q-MHz 編曲:岸田勇気、Q-MHz
2. Secret Code 作詞・作曲・編曲:ESME MORI
他Instrumental含む全4曲
品番:ZMCZ-16141
価格:1,320円(税込)
発売・販売:株式会社KADOKAWA