平波亘監督コメント
私たちが常日頃、当たり前のように思っていたささやかな幸せが突然奪い去られてしまう。そんなことは、もはやこの世界では不条理でも何でもなくなってしまったかもしれません。
本作の主人公・果歩はそんな危機に直面しながら必死に目の前にある日常をつなぎ止めようと抗います。それがたとえおろかな選択肢だったとしても、大切なものを守ろうとする彼女の小さな冒険を、僕は映画という方法で肯定したいと思いました。
中井友望は、そんな果歩の未熟さやもろさを全身全霊で体現し、人間としてのかけがえのない魅力を与えてくれました。そんな僕らが、真冬の厳しい寒さの中で紡いだ映画が「サーチライト-遊星散歩-」です。この物語に触れた人の心に、温かさが灯ることを祈って。