7年ぶりにテレビ番組を見るというライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は、「阿佐ヶ谷ワイド!!」(毎週木曜深夜2:16-2:36、テレビ朝日)をチョイス。
知ってる場所が映ってる!「阿佐ヶ谷ワイド!!」
知っている街がテレビに映っている!このミーハー的な感動は、都会の絵の具に染まり草に寝転ぶのも汚くってありゃしない木枯らしのビル街BOYになり果てた今だって、まだまだ忘れられないものである。それどころか、自分の最寄り駅が番組名になっている!というまったく初体験の感動まで与えてくれる「阿佐ヶ谷ワイド!!」は、阿佐ヶ谷姉妹のふたりが阿佐ヶ谷に繰り出し、阿佐ヶ谷の住人たちと親睦を深めていく、地域密着型バラエティである。
阿佐ヶ谷姉妹のブレイクは、私の人生にとっても非常に喜ばしいことだ。地元の家族や友人に住んでいる場所を説明するとき「阿佐ヶ谷」と言えば、「あっ、阿佐ヶ谷姉妹の」と一発で伝わるし、あのふたりの持つ優しい空気感は、少なからず阿佐ヶ谷の治安向上に貢献しているのではないかと思う。あのふたりがこの町を名に含んでいる、それだけで何となく、阿佐ヶ谷への安心感が増す。中野も高円寺もいいけれど、住むならやっぱり阿佐ヶ谷だよね、私がこう考える理由を、阿佐ヶ谷姉妹が体現してくれるのだ。
今回の企画(10月14日放送)は、杉並区立阿佐ヶ谷中学校にて、最後の大会を控えている陸上部3年生たちにエールを送り、そしてその姿をカメラに収めようというもの。私が毎日のように通っている阿佐ヶ谷駅北口の風景から番組は始まり、電車賃をケチるため南阿佐ヶ谷駅まで歩くときによく使う中杉通りを南上しながら、ココに通うのうらやましすぎだろと横目で眺めている阿佐ヶ谷中学校に到着。出発地点も経路も到着地点もすべて知っている。なんと楽しい映像体験!
こうして企画はスタート。阿佐ヶ谷姉妹が今回の主役である陸上部の前にサプライズで現れ、美穂さんがカメラを構えて「美穂山紀信です」と名乗るもいまいち伝わらないのも無理はなく、後はひたすらに、陸上部の中学生たちとじゃれあい続ける。本当にただただじゃれあっていて、これで番組として成立させてしまうのも、阿佐ヶ谷姉妹のふたりが持つ力なのだろう。
私も中学時代は陸上部だったので、彼らの姿は懐かしくもあり、何よりうらやましい。当時は陸上など嫌いで嫌いで仕方がなく、あの手この手でサボっていたのも含めて、いい思い出である。あの頃にもう一度戻れたら…などとノスタルジーに浸っていると、ついには鼻まで浸かってしまい、溺れる!苦しい!と悶えていたところで、地面に座ってスパイクの針を締めなおす部員の姿が映り、それが懐かしすぎて、私は死んだのであった。