俺らなりのやり方で、音楽を作り続けていきますよ。なんせ、ストック2兆曲もありますから(笑)
朗らかに歌いあげる曲やノスタルジーに浸る曲、どこか夢見がちな気分にさせる曲など、どの楽曲の色も濃く深く、そして繊細だ。これら色とりどりの楽曲に通底しているものがあるなら、「愛」に違いない。
35周年も視野に入った2人に、この先の目標を尋ねてみたら、思いもかけない答えが返ってきた。その答えを信じる限り、真心ブラザーズの音楽探求の旅はまだまだ続いていくように思えた。
YO-KING「今は、軽やかさ、軽さって大事だと思うんですよ。きっと人間は、先々のことを考えて不安や心配を抱えるのが自然なんだろうなと思います。昔は、小さなコミュニティの中で生きていたから、それでもよかったのかもしれないけど、都会で生きると情報も出逢う人も多いから、ストレスがかかりすぎてしまう。自然に任せていると、心が病んでしまうのかなと。だから、不自然なくらいに明るい方へ向かうくらいで丁度よくて、幸せになるという覚悟を持っている人だけがハッピーに暮らせるチャンスがあるんじゃないかなと思ったりしますね。あと、みんながもう少しだけ優しさを持てるといいなと思うけど、それに関してはゆっくりとだけどそちらに向かっている気がします。世の中も少しずつやさしくなってるように感じますね」
桜井「うん。今の若い子たちって、自分が若い頃が恥ずかしくなるくらいに(笑)みんな優しくていい子たちばかりだと思いますね」
YO-KING「そうそう。僕は自分のやり方で幸せになっているから、他の人に合うかどうか分からないけど、そのメソッドはいつか残したいと思っているんですよ。音楽の中に、染みるように入れ込んでいるし、にじんでくるものだと思うけど、歌に全てを入れ込もうとするとうっとおしくなる。それなら本にしたほうがいいのかなと思っていて」
桜井 「新曲を出す前に、本に同じことを先に書いちゃうと、曲を聴いてくれた人が『〇ページに書いてあったね』って答え合わせになっちゃうのがちょっと心配だな。ライブのときに『ここに書いてあった歌詞だよ』とかになると、ちょっと不便そうじゃない?」
YO-KING 「それもそうかな。じゃあ、70歳になったら書いてみようか。俺はいままで1冊も本を出してないから、引く手あまたなんですよ(笑)。だから、1年に5~6冊くらい出してもいい」
桜井「そのハイペースは、まるでみうらじゅんさんみたいですね(笑)」
YO-KING「俺らよりうわての方々はいっぱいいますよ。例えば、スカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)は、今も真夏のフェスで全員スーツ姿です。あれは到底まねできない。俺らも俺らなりのやり方で、音楽を作り続けていきますよ。なんせ、ストック2兆曲もありますから(笑)」
収録曲●一触即発/君がすべてだったよ/群衆/LOVE IS FREE/破壊/Boy/雨/ブレブレ/うたたね/白い紙飛行機
真心ブラザーズ=(写真左から)桜井秀俊、YO-KING。1989年大学在学中、音楽サークルの先輩YO-KINGと後輩だった桜井で結成。同年9月にメジャーデビュー。YO-KINGは全員フロントマンのカーリングシトーンズのメンバーとしても精力的に活動、桜井は楽曲提供、サウンドプロデュースなど、それぞれ活躍中だ。11/3(木)からライブツアー「FRONTIER」をスタートさせる
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