娘とわたしの「不機嫌」
「今の、思春期の娘は、もう、わたしの前では常に不機嫌。引っ張られてしまうんですよね、あーもうケンカなんてしたくないのにですね」
「さやかさんが穏やかな空気感でいれば、そこから変わっていくことはあるから」
「こうしなさい、先にねああしなさい、とか彼女を思って言うんですけどねえ」
「指示や指導では、変わらない、反発するんじゃない?」
「まあ、そう、なんですかね」
「さやかさん、親に指示されて、嬉しくなかったでしょ?」
「まあ、そう、もう子どもの立場は、忘れてしまったような気がします。ついこの前まで子どもの立場で親を批判していたはずが!あっという間に立場を変えて子どもに指導していますね、ははは」
「さやかさんが変わっていけば、娘さんも変わるから」
そうなんだと思う。理想論じゃなくて、わたしもそう思っている。子供は親次第である、と思っている。親がいかに楽しくしているか、というのは重要だと思っている。しかし、今のわたしたちったら。
「子供のことを考えて」と、周囲から言われたりするが、いや、考えているのですよね。四六時中。仕事だって、娘のこの先のことを考えている、健康でいることも娘のことを考えている。実は娘といないときの方が、娘のことを考えている。あなたのことを頭の中から外せることはないわけ。
なのに、「ママはわたしのことを考えてない!」と娘に言われた日には「わたしがどれだけーーー」と、泣きたくなってくるわけだ。これは更年期だからか?
わたしは娘の前で泣いた。
どれだけわたしがあなたを思っているのか(重すぎる!)。きっと母もそうだったのだろう。軽やかに物事を伝えるのが苦手な不器用な母だった。
「コワイ、ママ」
「そう?」
「そういうママ、コワイ」
いけない、いけない。不機嫌になったらいかに早くご機嫌にもどるかが勝負だとやましたひでこさんは言っていた。スピード勝負だ!
わたしはニコニコとして娘を見た。
「ごめんねえ。」
「え、急にそのテンション、コワイ」
負けるなわたし。こんな小娘の言うことに。空気感を変えるのだ。
「そう?ご機嫌ママのこと、よろしく〜!」
意味不明。
「コワっ」
小娘と更年期に負けるな自分!
「うふふ。あなた、まつげパーマしたいって言っていたじゃない?ふふふ」
「うん」
「今度2人でいく?ほら、月曜日一緒に」
「いいの?」
「もちろん、ふふふ」
「いく!」
ご機嫌で、娘の今の一番の関心ごとをエサに媚びた作戦で今日のところは事なきをえた。
これでいいのだ!
1973年愛知県生まれ。大学卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントの道へ。「どこ見てんのよ!」のネタでバラエティ番組でブレイク。2007年に結婚、2010年に出産。2012年に離婚。現在はバラエティ番組やドラマ、舞台などで幅広く活躍中。
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