声優としてTVアニメ『ラブライブ！サンシャイン!!』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などに出演、さらに映像作品や舞台俳優としても幅広く活躍する佐藤日向さん。お芝居や歌の表現とストイックに向き合う彼女を支えているのは、たくさんの本から受け取ってきた言葉の力。「佐藤日向の＃砂糖図書館」が、新たな本との出会いをお届けします。
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先日、イベントの会場付近でたまたま寄った本屋さんで"発売即大重版"という文字を見かけて、これは買わねばと思い一冊購入した。
今回紹介するのは、結城真一郎さんの『#真相をお話しします』という短編ミステリー作品だ。
本作は5篇からなる短編なのだが、5篇に共通しているのは、ラストのどんでん返しと散りばめられた違和感だ。私はミステリーの展開を予想するのが得意なタイプではないので毎、回ラストに近づくたび「あぁ、なるほど冒頭の説明はここに繋がるのか！」と思わず唸ってしまった。そしてラストを目の当たりにするたびに、不思議な爽快感がある。たとえるならば、謎解きの謎が解けた瞬間と『世にも奇妙な物語』を見ている時のゾワゾワ感を組み合わせたような感覚だ。
どの話も、SNS関連や、YouTuberやマッチングアプリなど現代で日常に馴染んでいるものがテーマになっており、私にとってはどれも新鮮だったが、人によっては共感できるものもあるのではないかと思う。中でも私が印象的だったのは「惨者面談」だ。
このお話は、中学受験のために頑張る親子を支える家庭教師の目線で描かれているが、とある家庭の事前訪問に違和感が次々と生まれ、子どもの意思のある目線、模擬テストの数学で頑なに"110"と解答をするあたりから、だんだんと違和感の理由が明かされていく。私は子どもの頃、勉強は努力をしたぶん結果が必ずついてくる楽しいものと認識していたので、実力試しのため小学校受験を試みたことがある。昔から英語と国語は得意で、今こうして文章を書かせていただいていることにも繋がっているのかもしれない。しかし算数だけは現在進行系で苦手である。受験の時に最も苦戦をしたのは算数といっても過言ではない。
父が理系だったため、父の理論的には娘の私も理系が得意なはずなのだが、どうにも数字とは相性が悪く、下手すると問いを理解することが出来ない時もある。この頃から若干の得意不得意が見え隠れしていた私だが、小学校受験は楽しく勉強をして、点数的には合格をもらえた。残念ながら入学することは叶わなかったが、努力が形になるということを受験で経験した私にとって、本作の「惨者面談」は懐かしさも感じつつ、自主的に受験を希望した私はもしかすると珍しいのかもしれないなと思った。
本作は特にそうだが、本というのは普段自分が触れている世界から見たことがない世界まで、想像しやすい文章で細かく伝えてくれる。なかなかできない経験を、本を通して想像しやすくしてもらえるから、読んでいて面白いと感じられる。『#真相をお話しします』はミステリーの面白さをぎゅっと濃縮した、お試し感覚で読める作品だと私は感じた。ミステリーを読むのは難しそう、という固定観念がある方も、是非本作に潜む５つの真相を目の当たりにしてほしい。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
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佐藤日向(さとう・ひなた)
12月23日、新潟県生まれ。2010年12月～2014年3月、アイドルユニット「さくら学院」のメンバーとして活動。卒業後、声優としての活動をスタート。主な代表作に『ラブライブ！サンシャイン!!』(鹿角理亞役)、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(星見純那役)、『プロジェクトセカイ カラフルステージ！ feat.初音ミク』(暁山瑞希役)。ニコニコチャンネル「佐藤さん家の日向ちゃん」毎月1回生配信中。
