“役を生きる俳優”とも称される実力派イ・ソンミン主演の韓国ドラマ「刑事ロク 最後の心理戦」が最後まで緊張感を途切れさせない展開の中、11月16日に全8話の配信を終えた。同作は1本の電話をきっかけに同僚殺しの容疑者にされてしまった定年間近のベテラン刑事・キム・テクロク(イ・ソンミン)が、自分に濡れ衣を着せた「友」と名乗る正体不明の脅迫犯を捕まえるために奔走する中で、自身の過去と向き合うことになっていくヒューマンミステリー。「ディズニープラス」内「スター」ブランドにて配信中だ。本作で、「友」と疑わしき人物の1人であるテクロクの後輩刑事・ギョンチャンとして視聴者を“混乱”させる名演技を披露した俳優イ・ハクジュを解説する。(以下、ネタバレを含みます)
演者もスタッフも「友」の正体を知らない中で撮影
この作品の製作発表で、監督が「謎解きゲームのような面白さがある」と言っていたように、毎回疑わしい人物が変わっていき、犯人である「友」の見当がつけにくいのが特徴のこのドラマ。すべての出演者が疑わしいように演じることを要求されており、出演者も終盤の台本を受け取るまで犯人がわからないまま、怪しまれるような演技をしていたんだとか。台本も機密扱いで、スタッフは結末を知らないまま作業をしていたそう。おかげで、イ・ソンミンは奥さんにも「で、『友』は誰?」ときかれていたようだ。
このように視聴者に疑念を抱かせなければならないので、力のある俳優ばかりがキャスティングされ、結果、見ごたえのある骨太な作品となっている。自分を犯人だと思わせる演技が一番上手かった俳優をきかれたイ・ソンミンは、ベテランたちではなく、テクロクの後輩刑事・ギョンチャンを演じたイ・ハクジュの名前を挙げた。
イ・ソンミンは「今回初共演でしたが、彼がこんなに演技が上手いとは知りませんでした。この子、普通じゃないな、と思いましたよ」と絶賛し、ハクジュの疑わしい演技について、「撮影時もおもしろかったが、配信になってから画面を通して観たらもっとおもしろかった。本当によくやった」とベタ誉めだった。
大先輩から絶賛された“疑わしい演技”についてイ・ハクジュは、「監督に“視聴者をたくさん混乱させてほしい”と言われました。だから、怪しそうなふりができそうなところを探して、隙があれば何かして、1つでも多く怪しい点を入れました。ギョンチャンは署長の命令でひそかにテクロクを監視している、という秘密を持っていたので、自然に“友”と疑われるかもしれないなと思いながら演じてました」と、語っていた。
そんな努力のおかげで、視聴者は彼を「友」だと確信したり、やっぱり違うと思ったり…。視聴者と同じように、彼自身も演じながら混乱したらしい。どこでどのように視聴者をモヤモヤさせる演技をするか…と考えるのは面白かったが、同じぐらい難しかったそうだ。
ギョンチャンとイ・ハクジュのシンクロ率は100%?
イ・ハクジュが演じたギョンチャンは、テクロクに憧れ、志願してテクロクの居るクモ署に来た若い刑事。裕福な家庭育ちで、実は現場の刑事よりそんな彼らを動かす役割が似合う人種だ。みなぎるやる気がどこか空回りしているちょっと残念な若者だが、ハクジュ曰く「そこが魅力」。
特に第1話で、麻薬の売人の様子を1人でうかがいに行かされるシーンがお気に入り。売人が殺人未遂犯だと聞かされてあからさまにビクビクしながら潜入し、見つかった後、精いっぱい虚勢を張って悪態をつくのだが、悪口を言い慣れてないのがバレバレでバカにされてしまうのが、とても魅力的だと思ったそうだ。そして、尊敬して大好きなテクロクを署長の命令で監視するジレンマを感じているところも気に入ったと言う。
こんなギョンチャンと自身のシンクロ率は製作発表時は「10%」と言っていたが、「よく考えてみたら100%」と撮影終了後に語って記者を笑わせていた。
今回の作品で彼が一番年下で、イ・ソンミンの他にもチン・グにもかわいがられていたようだ。「チン・グ先輩とは共演シーンがあまり多くなかったのですが、いつも楽しい雰囲気を作ってくれました。僕が何かすると面白がってくれて、“いたずらっ子だ”とおっしゃったんですが、僕、35歳なんですけどね…(笑)」と笑いながら回想した。また、ほぼ一緒に動いていたキョン・スジンとは、お互いに悩みを打ち明け、応援を惜しまない仲になったそうだ。
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