コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、女の子二人がかき氷を食べに地球から太陽系の端まで行くSF漫画『かき氷で星間旅行』をピックアップ。作者であるDoroniさんは17歳の現役高校生ながら、愛するSFを通して自身の世界観を緻密に描き上げ話題を集めている。また、Doroniさん自身がこの作品を11月6日にTwitterに投稿したところ、1.2万以上(12月15日現在)の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、Doroniさんにインタビューを行い、創作の裏側やSFの魅力についてを語ってもらった。
遠未来の宇宙を舞台にSF要素をたっぷり詰め込んだ本作 現代の文化が残る“小ネタ”も
舞台は遠未来。“トウキョウタワー”と呼ばれる都市環境制御システム・CECOSに隕石が命中し破壊されたことから、厳しい酷暑が続く日本。友人同士である小惑星帯生まれの山代空来と地球生まれの明槻もふは、電子配布式2次元広告(チラシ)でたまたま“常冬屋”のかき氷の広告を目にする。一度もかき氷を食べたことのないというもふの願いで、二人は地球から遥か遠い太陽系外縁部まで旅行することを決める。
家族所有の旅客機を自ら運転し赤道まで向かった空来ともふは、次に宇宙物流の拠点となっている軌道エレベーター・扶桑に乗り込む。その居住スペースで静止軌道に着くまでの3日間を過ごすと、終点である“むつきステーション”に降り立った。空来の宇宙船へと乗り換えた二人は、亜光速を超え鉱山小惑星での休憩を経て、途中海賊船からのミサイル攻撃を受けながらも無事冥王星へと到着。そこで空来の妹・朝詩と合流すると、ついに目的地である常冬屋にたどり着き…。
かき氷を食べることを目的に、壮大なスケールでの“星間旅行”を描いた本作。現代の文化が残る細かな小ネタも話題を集め、Twitter上では「小惑星帯まで行く動機が“かき氷”!!」「素晴らしい作品に出逢いました」「最高にかっこよかった」「こんなにSFを詰め込めれるのは本当にすごい」「良質なSF」「めちゃくちゃ面白かった」など、多くのコメントが寄せられ反響を呼んでいる。
「宇宙発展の歴史を意識し、自然に受け入れられやすいSF作品に」作者・Doroniさんが語る創作の裏側とSFの魅力
――『かき氷で星間旅行』はどのようにして生まれたのでしょうか?創作したきっかけや理由を教えてください。
作品を作るきっかけになったのは、今年の夏の暑さでした。クーラーをいれてもなかなか冷気が感じられないと、いっそ熱気と全く縁のない、太陽系のふちにでも行ってみたいと思ったのが始まりだったと思います。また、以前にTwitterにいろいろな超光速宇宙船があったらどうなるかといった内容の絵を投稿したことがあり、そういった自分でデザインしたメカを自分の手で動かしてみたい、と思っていたのもありました。
――いつも冷静沈着な小惑星帯生まれの山代空来と、明るく天真爛漫な地球生まれの明槻もふ、それぞれのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?
キャラクターは、空来は作品世界のことをある程度知っているし、説明もできる、作者である自分の投影のような存在として作りました。もふは、空来が説明ばかりしていては読者の理解を妨げると思い、空来に質問をしたり反発したりと、こちらは割と読者側のキャラクターとして生まれました。
それと、私が個人的に百合作品が好きなので、女の子のキャラを出すなら二人セットにしたかった、というのもあります。二人の関係性はいろいろな作品からの影響を受けてます。
――“遠未来”を舞台にした本作では、現代の文化の一部が残っているなど、小ネタが多く仕込まれていて読み応えがありました。Doroniさんにとって、SF漫画を描く際のこだわりや意識している点はありますか?
SF的なものを描くときには、その描写の裏にある歴史を意識してます。それはワープ航法の発展と普及の流れのような大きいものから、宇宙ステーションの装甲板に傷ができた理由といった無駄に細かいところまで色々あるんですが、こういった物事の経緯がしっかりと連続していると、現在私たちが暮らしている世界と作品世界との地続き感が出てくる気がしています。そうすることで、SFのフィクションの部分が、より自然に受け入れられるんじゃないかと思っています。
――本作の中で、Doroniさんが特に思い入れのある(気に入っている)シーンやセリフがあれば教えてください。
特に思い入れがあるのは、5ページ目の軌道エレベーターが見えるシーンです。空にそびえる超巨大な建築物というのは、自分の原風景のようなもので、できるだけきれいに、美しく見せようと思って描きました。
また、先程の話にもつながるんですが、軌道エレベーターの根元には一つの街のような構造体を描きました。軌道エレベーターは宇宙と地上をつなぐ巨大な港です。今まで人類の文明が都市間輸送に適した港を中心に発展してきたように、宇宙時代には大都市は軌道エレベーターという次世代の港を中心に作られていくだろう、でもこのエレベーターは古い時代の小規模エレベーターを改装してだんだん大きくなっていった設定だから少しいびつな形にしていこう…といった感じで、この軌道エレベーターができた理由、その発展の歴史を意識して、細かいところまでこだわりました。このページは数日をまたいで描いた覚えがあります。
――Doroniさんは、本作以外にも宇宙戦艦や宇宙船、戦闘機などの1枚絵を多く描かれているのも印象的です。Doroniさんが感じる宇宙やメカ、SFの魅力について教えてください。
端的に言うと、機能美だと思います。宇宙機も、兵器も、ある目的のために極限まで切り詰めて、最適な構造、設計を求めています。そうして余分なものを取り除いた姿はすべてが必然の塊で、どうしようもなく美しくなっていくものだと思います。たまに全然美しくないやつもいますが、調べていけばそうなってしまったことにも理由があり、それを知っていくことで段々と魅力を感じてきます。
その美しさをフィクションとして再現するのが、自分にとってのSFで、メカデザインなのかもしれないです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも作品を見てくださっている方々には感謝しかないです。まだまだ稚拙な作品ですが楽しんでいただけていれば幸いです。毎度誰にもわからないだろうと思って描いた小ネタを拾ってくださる方がおり、とてもうれしく思っています。
これからも色々作っていこうと思うので成長していけるよう頑張ります。
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