“おばあちゃんの死”を考えるようになった
――本作を通して、役者として得たものはありますか?
「大先輩の方々との共演は、貴重な経験でした。みなさん、すごく元気で貪欲。打ち上げの際にも『あのシーンはもっとこうできたかもしれない』と、まだまだ高みを目指していらして、ご自身の演技に決して満足されないんですよ。先輩たちがそうなると、じゃあ僕なんてどうしたらいいだって(笑)。いくつになってもストイックに努力し続ける姿って、本当にかっこいいと思いました。僕も現状に甘んじることなく、まだまだがんばっていかないといけないと思わされる現場でしたね」
――作品を通して“介護”をどう捉えるようになりました?
「やっぱりリアルなものとして考えるようになりましたね。僕の年齢だとまだあまり実感がないんですけど、いずれ親も歳をとれば介護が必要になりますし。 “おばあちゃんの死”なんて考えたこともなかったんですけど、考えてみれば、いつかはいなくなってしまうんだよなって…」
――おばあちゃんはおいくつで?
「80歳を越えてますね。地方に住んでいるので年に一回くらいしか会えませんが、帰ると自分が出た作品を見てくれているみたいで『見たよー』って。むちゃむちゃ元気で、けっこうファンキーなんです(笑)。だから、勝手に死なないんだろうなって思っていたというか。この作品をきっかけに、覚悟ではないですけど、そういうのを持っておくべきなんだなと思わされました。僕と同じようにこの作品を観た若い世代の人たちが、そういうことを考えてくれたら嬉しいですね」
――あの「―スカッとジャパン」のカズピコ役のイメージを持っている人からすると、本当に同じ人?って思うくらい違う表情を見せてらっしゃいますよね。
「そう思ってもらえたらありがたいですね。僕自身、表現するうえで制限は絶対にしたくないので、もっといろんな役をやりたいと思っています!」
現場にはクロスバイクで
――そんないろんな“顔”をお持ちですが、戸塚さんのプライベートは、アクティブなほうですが? それともインドア派?
「ここ数年ずっとハマっているのは落語ですね。『ゼクシィ』のCMオーディションでは20分間も落語を披露して、スタッフさんから『長すぎるよ』って怒られちゃいました(笑)。ハマったきっかけは、立川志らくさんが主宰する下町ダニーローズの公演で『サラリーマン落語』を見たこと。好きな落語家さんは、立川志の輔さんと志らくさんです。志らくさんは、立川談志さんの独演会の時に前座をされていたんですけど、ある時、談志さんがなかなか来ない日があって。30分待っても1時間待っても来ない。で、その場をつなぐために談志さんのモノマネ落語をして、結局2時間も会場を沸かせたっていう伝説があるんですよ。天才ですよね」
――割りとインドア派?
「いや、アウトドアな趣味もありますよ。最近だと自転車! ずっとほしいなと思っていたんですが、たまたまタイミングがあってクロスバイクを買ったんです。どこに行くにも自転車に乗って移動していて、この間は、片道3時間かけて八景島まで行ってきました。撮影現場にも自転車で通うようにしています。自転車で現場入りすると、程よく身体が温まっていてウォーミングアップできるんですよ」
取材・文=五十嵐大
6月17日(土)より全国順次公開 ユナイテッド エンタテインメント
とづか・じゅんき=’92年7月22日生まれ、岩手県出身。’10年に第23回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に入賞し、芸能界デビュー。11月2日(木)~の福田雄一脚本・演出舞台「スマートモテリーマン講座」に主人公役で出演が決定している。