朝の情報番組「ZIP!」内の朝ドラマ「クレッシェンドで進め」(毎週月~金曜朝7:50ごろ、日本テレビ系)がクライマックスに近づき、盛り上がりを見せている。同ドラマは細田佳央太主演で、出口夏希らフレッシュな若手俳優が高校生の青春の1ページを熱演。「ZIP!」の朝ドラマといえば、2021年のM-1チャンピオン・錦鯉の半生を描いた「泳げ!ニシキゴイ」の放送も記憶に新しい。2022年は「ZIP!」内で連続ドラマの放送を続け、今回で3作目となっているが、なぜ「ZIP!」でドラマを作ったのか。民放の朝ドラマという取り組みにチャレンジする背景やドラマで伝えたいことなどを、「ZIP!」総合プロデューサーの上田崇博氏に話を聞いた。5分の超ショート尺ドラマになった理由や、日本人の朝を考えて作られていることなどを語ってくれた。
「ZIP!」朝ドラマが継続放送中、「安心して見られる」と好反響
――はじめに、上田さんの「ZIP!」の役割を教えてください。
上田氏:元々「ZIP!」には今年の6月に配属されまして、前任の長田プロデューサーから引き継いで9月から総合プロデューサーとして番組全体を見ています。経歴簡単に言いますと、昨年の12月までは編成局にいまして、その前の2018年までは番組のディレクターや演出をやっていました。入社時の2003年は「ズームイン!!SUPER」のディレクターをやっていましたので、久しぶりに朝の番組に戻ってきました。過去には「ウチのガヤがすみません!」を作った他、ディレクターとしてはいろいろなゴールデンの番組や特番のチーフディレクターを担当していました。
――「クレッシェンドで進め」は今期3作目の朝ドラマですね。視聴者からの意見や反響はどのようなものが来ていますか。
上田氏:今年は、「サヨナラのその前に」を約1カ月放送して、少し空いて7月から1クールのドラマが「泳げ!ニシキゴイ」と今回の「クレッシェンドで進め」という流れで、ずっと「ZIP!」にドラマがあるという状態が続いています。反響としては「泳げ!ニシキゴイ」は実話を基にしたドラマで、錦鯉の苦労の末Mー1グランプリに優勝するストーリーは知られていたので、視聴者にとって安心感をもって見ていられるとすごく反響が良かったです。Twitterの反応もいいですし、実際視聴率もコア層や若い層の視聴率も手ごたえを感じたものでした。キーワードとしてはやはり「安心して見られる」っていうところだと思います。
――その“安心感”は数字としても表れていますか?
上田氏:番組はエンディングに向けて視聴率が下降する場合が多いんですけど、この朝ドラマを行ったことでコア視聴率がフラットにキープできたり、時には上がったり。最後のひと押しみたいな形ができていることを本当に感じています。こういうレギュラー放送は、前作の影響が今作に出たり、その回のネタが良かったら次の週につながっていくものと思っていますが、今回の「クレッシェンドで進め」も出演者は若手俳優中心ですが、数字としてはちゃんとキープしています。このドラマを通じて少しずつ朝ドラマの支持も得られていることは感じてます。
“新しいチャレンジ”が「ZIP!」のDNA、実験的取り組みから錦鯉ドラマで手応え
――そんな「ZIP!」で朝ドラマの企画がそもそもなぜ立ち上がったのか、背景を教えてください。
上田氏:「ZIP!」は朝番組としては新しい企画を常にチャレンジして、ショートコンテンツの品ぞろえがあるのが番組のカラーではあったんですが、今回も生活者が積極視聴したいと思えるような新しいことを何かしたいというところで、朝番組に今までやったことのないような「朝ドラマをワンクール放送しよう」というのが、立ち上がったきっかけです。
――最初は結構実験的な側面もあったということなんでしょうか。
上田氏:そうですね。最初バカリズムさん脚本の「生田家の朝」というドラマを4年前にやっていました。「もう一回やってみよう」という気持ちはあったんだと思います。
――その実験的な要素がある中で、「泳げ!ニシキゴイ」の反響や手ごたえがあり、今作の「クレッシェンドで進め」につながったんですね。
上田氏:放送には映っていませんが、水卜(麻美)アナも笑ったり、時にはぐっときて涙しそうになったりしているのを見ていても本当に面白くて。「ニシキゴイ」は現役バリバリの漫才師の半生を描くって見たことないし、企画としても面白いと思いました。錦鯉のお二人の人柄も、視聴者にとって嫌な思いをして朝出かけることにならないんだろうなと思っていました。