「SPRING BREEZE」初夏の野音で6組が熱いパフォーマンス!
ライブイベント「SPACE SHOWER Presents SPRING BREEZE 2017」が、6月11日東京・日比谷野外大音楽堂にて開催された。6組が出演したライブの模様をリポートする。
bonobos
昼下がりの“野音”にまず登場したのはbonobos。小池龍平(Gt)、田中佑司(Key)、梅本浩亘(Dr)加入後初となるアルバム『23区』('16年)でさらなる進化を遂げた彼らは、「東京気象組曲」からライブをスタート。初夏の爽やかな暑さに映えるグルーヴィーなロックナンバーで、早速客席を温めていく。
そこから早くも名曲「THANK YOU FOR THE MUSIC」が披露されると、我慢できずに立ち上がる観客が続出。レゲエやダブを基調としたCD音源から、かなりアーバンなテイストに生まれ変わったサウンドに、観客たちは思い思いの揺れ方で体を揺らす。観客からは手拍子が巻き起こり、祝祭感に溢れた美しい光景が広がっていく。
続く「三月のプリズム」では、メロウでゆったりとしたビートで聞かせていくかと思いきや、中盤以降は一気にテンポアップ。蔡忠浩(Vo、Gt)の伸びやかで美しいボーカルが映える、スケールの大きいポップソングを展開していく。その緩急自在のサウンドに、観客からは大歓声が上がった。
田中のピアノソロから始まった「Crusin' Crusin'」では、再びアーバンかつグルーヴィーなサウンドを展開。夜の香りのするこの楽曲を、都会のど真ん中で昼下がりに聴くというシチュエーションに、観客たちも思わず酔いしれる。
小池によるオシャレなギターソロに目が行きがちだが、森本夏子(Ba)と梅本が生み出すリズムも極めて柔軟で、うねるように展開されるそのビートは格別。生き物のようなグルーヴでフロアを大いに沸かせていった。
各メンバー紹介の後、蔡は8月12日(土)に同じ場所で開催する自身のワンマンライブにも触れつつ、「最後まで晴れるでしょこれ」と、すっきりしない曇天模様を気にする場面も。
そしてラストナンバーは「23区」。持ち前のポップセンスと都会的なイメージが見事に交錯する柔らかなナンバーで、ライブを締めくくった彼ら。蔡は演奏しながら「どうもありがとう! bonobosでした。最後まで楽しんで!」とあいさつし、爽やかな風をもたらしステージを後にした。
DATS
二番手はDATS。FUJI ROCK FESTIVALを筆頭に、ことし開催される各地のフェスへ出演も続々と決定するなど、各方面から高い期待を集めている彼ら。6月7日には待望のデビューアルバム『Application』をリリースし、早くも話題となっている。
ライブは打ち込みによる印象的なリフから「Amazon」でスタート。サンプラー、PCなどを巧みに操作しつつ、ドラムとパーカッションによる生音のビートを生かし、独特のサウンドを産み出していく。「SPRING BREEZE、楽しんでますか~?」という杉本亘(Vo)の一声にも、エフェクトが存分にかけられる。
続いて披露されたのは「Queen」。上音は80's的なシンセサウンドを用いつつも、音には緊張感があり、決して古臭い印象は抱かせない。むしろクラブカルチャーにごく自然に触れてきた世代特有の、ボーダレスなバンドサウンドといったところ。
「Mobile」では、ハウスを絶妙にそしゃくしたようなサウンドに、時折強烈にエフェクトをかけ、そこからカタルシスへと誘う流れは、クラブ的な「マナー」を踏襲したかのよう。
「Filter」では、大井一彌(Dr)がBattlesなどをほうふつとさせる人力ブレークビーツ的なプレーを見せたかと思えば、彼らのアルバムのサウンドエンジニアも務めた荘子itが登場しラップを披露するなど、観客を盛り上げる。
さらに、そこからセッションパートへなだれ込む。観客の手拍子をその場でサンプリングし、それに合わせて刻んだビートに乗せて荘子itがフリースタイルラップを披露したりと、実験的なパフォーマンスを展開した。
その後も「Run」では、ボーカルトラックをサンプリングしたものを流したり、ギターのノイズを反響させたりと、ミニマルなビートの下でもさまざまなアプローチで観客を引きつけていく。
最後に披露されたのは「Candy girl」。それまでのクラブサウンドとの融合を意識させる楽曲群から、四つ打ち基調のロックサウンドへ一気にシフトし、これまで淡々とした演奏に耳を傾けてきた観客を一斉に踊らせていく。ダンサブルなサウンドに前方へ駆け出す観客が続出するなど、ライブは大盛り上がりのうちに幕を閉じた。
7月26日(水)夜10.00~11.00
SPACE SHOWER TVで放送
※8月にリピート放送を予定