長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は「世界が騒然!本当にあった(秘)衝撃ファイル」(テレビ東京)をチョイス。
“わからなさ”に救われる「世界が騒然!本当にあった(秘)衝撃ファイル」
私はUFOや怪現象といったものに多大な興味がある。むしろ興味ないって人のほうが少ないと思うんだけど、特にUFOの何がいいって、まったくワケが分からないという点に尽きる。なんで飛んでるのかも、どうやって飛んでるのかも、どれだけ賢い博士が頭をひねっても、未だに正体を突き止められない…そんな未知に感じるこれはもはや、ロマンというより、ある種の救いと言ったほうが近いのかもしれない。
この世界は、四方八方、どこを見回しても分からないことだらけである。未だに確定申告が分からなすぎて大泣きしながらやっているし、税金のことや、保険のこと、社会人として知っておかなければならない最低限のことがまったく分からないまま生きている。しかも、それが分からない責任は当然、自分にある。自分からは何も学ぼうとせず屁ばかりをこいて困りたいときだけ困っているのだ。どうしようもないと思う。
しかし、UFOは誰にも分からない。この世は俺には分からなくて他の人には分かるというようなことばかりだが、UFOはどれだけ賢い人でもその真相を解明できない(真面目に考えているかはさておき)。そこに救いというか、どことなく安心感を覚えるのである。狭い地球でいくら粋がったって、広大な宇宙の住人から見れば人類などゴミ同然、宇宙人が存在するかしないかなんてことはさておき、この感覚は大事にしていきたい。修二と彰だって地元じゃ負け知らずだったが、街に出るとヤバい奴らに追われ暗い路地裏にしゃがみこんでいる。これはまったく関係のない話だ。
つまるところUFOとかそういうのが好きって話なんですが、TVerを漁っていると「世界が騒然!本当にあった(秘)衝撃ファイル」という番組がUFO&怪事件SPをやっていて、大好きな朝日奈央もいるというので思わず再生。しょっぱなから世界各地で撮影されたUFOの映像を流してくれて、90分越えという長尺ながら夢中になってしまった。
とは言っても、撮影されたUFOの映像が紹介されるのは冒頭15分程度で、番組としては、エイリアンと接触をしたと証言する人物たちへの取材映像や、実際に起こった怪事件の再現VTRがメインとなる。そちらも興味深く面白いので興味のある方は是非見ていただきたいんですが、なんか人間に接触して来ようとする宇宙人って、ちょっと冷めるというか、なんか違う。ETやモグワイみたいなカワイイのだったらいいが、たとえばグレイ型のいわゆるザ・宇宙人みたいなのは、人間に期待する素振りを見せてほしくないというか、人類なぞ相手にするなよ。もし俺に接触して来ようとする宇宙人がいたら「いや、それなんか違いますよ」って言ってやりたい。
個人的に印象に残ったのは、ドレス型の飛行物体の映像だ。あれはUFOとかでもない、本当にわけ分かんない映像で、その名の通り、ドレスが上空を浮遊しているようにしか見えないのだ。フライング・ヒューマノイドっていうのもお馴染みだが、なんだかそれとも違って、やっぱりマジっぽいUFOの映像ってほとんどが空を動く光の点を撮ったものだから、これくらいハッキリと形が見えて、かつ意味が分からないっていうのは嬉しい。なんか物理的に起こりえそうなことでもある気がするから、詳細をご存知の方がいたら教えてください。あと宇宙人の方がいたら引き続き得体の知れない存在でいてください。