あとは、“孤高の存在”という役もハマり役が多い印象がある。浮世絵師・葛飾北斎の生涯を描いた映画「HOKUSAI」での北斎役と、ドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」(日本テレビ系)の黒木蔵人役。奇しくも両方とも2021年の作品だが、演技の中にもカリスマ性というのが滲み出ているのではないかと思われる。同年Netflixで配信された「浅草キッド」で演じたビートたけし役も然り。
常軌を逸した役柄を演じたりすると“怪演”と言われたりするが、柳楽優弥の場合は、その怪演さえも彼の中のあるカテゴリーの一つになっている気がする。「ガンニバル」の阿川大悟も得体の知らない部分が多く、暴力的なシーンだけでなく、静かなシーンでさえも恐さが滲み出ている時がある。きっと、これまでに見せたことのない一面も出してくれるはずなので、これから始まる物語を楽しみながら追っていきたい。
◆文=田中隆信
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