長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は3夜連続で放送された「テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?」(BSテレ東)をチョイス。
「テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?」から記憶をたどる
本当に面白い番組だった。TVerを漁っていたら見つけたんだけど、全3回を一気に見てしまって、後から調べてみたらやっぱり話題になっていたようで、そりゃそうだろう、私も含め、やはりみんな、失われた(と思われていた)もの、そして、VHSの汚い画質が大好きなのだ。もちろんデジタル世代の私も、VHSのあの感じが大好き、黒沢清の「蛇の道」なんか最高ですよね。メルカリで買ったテレビデオに、中古で買った安いB級映画のVHSをセットしては、どこぞの誰かが悪趣味な映像でも上書きしてはいないかと、いつも胸を高ぶらせている。もちろん、遭遇したことはまだないのだが、昔、もしかしたら、と思うようなことがあった。
この番組ばかりは、私がああだこうだ言うよりは、何も聞かずに本編を見てもらうのが一番いいと思うので、今日の記事では、番組の内容には一切触れずに、ちょっと思い出話でもさせてもらいたい。ご了承ください。
荻窪のTSUTAYAで出会った奇妙なDVD
4年ほど前、今は無き荻窪のTSUTAYAで毎週DVDを借りていた。いつものように、映画のDVDを5本ほど抱えてレジに向かい、Tカードを提示すると、店員さんに「あ、城戸様ですね。お忘れ物を預かっているので、お返ししますね」と言われ、四角形の透明のケースを渡された。そのケースには、「6」とだけ書かれたDVDが入っていて、まったく心当たりがなかったので、反射的に「え、これ、僕のじゃないです」と店員に返した。
ただこれだけの話なのだが、店を出て、家に帰るまでの道で、ひどく後悔したことを覚えている。あのDVD、中身は何だったんだろうか。どうして、俺は、受け取らずに、返してしまったのだろうか…。いや、もちろん、俺のものじゃないということは、他人のものだ。俺が勝手に再生していいわけはない。そんなことは分かっている、だから受け取らなかったのは正しい選択だった。ただ、それならどうして、俺の忘れ物ということになっていたのだろうか…。
4年が経った今だって、あのDVDが心の片隅に残っている。どうせ「女王の教室」の最終話とかそんなのが入っているに過ぎないのだろうが、何かとてつもないものが封じられていた可能性もある。受け取って中身だけ確認してから返せばよかったと、未だにずっと思っている。もちろんダメですけどね、そんなことは。もし心当たりがあるという方がいたら、是非詳細を聞かせてください。たしか4年前、荻窪のTSUTAYAでした。正直、書かれていた数字が「6」だったかどうかは自信がありませんが、たしか偶数だったはず…もしくは「3」。記憶があいまいで申し訳ありません。