素晴らしい声の持ち主が、素晴らしい役柄を演じれば素晴らしくなるか。素晴らしい音楽に取り組めば素晴らしくなるのか。そう単純にはいかないのがアートやエンターテインメントの奥深いところで、場合によってはプラスとプラスが掛け合ってマイナスになってしまうことすらある。「こんなはずじゃなかったのに」という、何とも言えない、物足りない気持ちに襲われると一日がさえない。だが、すべてをプラスに転化させる、ポジティブにする魔術を持っているのではないかと思えるほどの輝きの持ち主も確かにいる。まさに「乗りに乗っている」という表現がぴったりくるのが、最近の和氣あず未だ。今回はアニメ「東京リベンジャーズ」の橘日向(ヒナタ)役など、多くの代表作を持つ声優で歌手としても活動中の和氣について、エンタメ全般に幅広い知識を持つライターの原田和典氏に語ってもらった。
音楽ファンで本当に良かった
声優としての活動と共に、自分の中でその存在がとても深く刻み込まれたのは、2022年発表のアルバム『あじゅじゅと夜と音楽と』によるところが大きい。まだ聴いたことがないという人がいれば、即座に音源購入に動いてほしいほどの傑作だが、滑らかな歌声、優美なメロディー、洗練されたトラック(伴奏)が、ここまで和やかに、楽しく同居するとは、音楽ファンで本当に良かったと感じたものだ。
アルバムタイトルは、ビル・エヴァンスやキース・ジャレットも取り上げたアメリカ産の名曲「あなたと夜と音楽と」をもじったものであろうが、自分はエヴァンスやキースよりも“あじゅじゅ”をもっと聴きたい、と、はっきり思った。
和氣が2015年にTVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」(TOKYO MXほか)の片桐早苗役で声優デビューしてから8年。初主演となった2016年1月期放送のTVアニメ「おしえて!ギャル子ちゃん」(TOKYO MXほか)のギャル子役を経て、2018年に放送されたTVアニメ「ウマ娘 プリティーダービー」(TOKYO MXほか)第1期の主人公であるスペシャルウィーク役で知名度を急上昇させ、2020年度の「第十五回声優アワード」(2021年開催)で新人賞を受賞した。
“東リベ”のヒロインを好演
2021年には、これもハマり役となった橘日向(ヒナタ)役を「東京リベンジャーズ」で好演。歌手デビュー3年目の2022年には『あじゅじゅと夜と音楽と』『STAY BEAUTIFUL STAY BEAUTIFUL』と2作品を届けてくれた。そしてこの2023年1月から放送・配信されている「『東京リベンジャーズ』聖夜決戦編」第26話より(毎週土曜深夜2:08-2:38ほか、MBSほか/ディズニープラスで定額制見放題独占配信)でも、ヒナタ役を続投している他、多数のアニメ作品への出演が決まっている。
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「東京リベンジャーズ」の他にも「文豪ストレイドッグス 4thシーズン」や「スパイ教室」「もののがたり」など、1月スタートの国内アニメを多数ラインアップ
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