西田敏行×寺尾聰、今秋ドラマ「琥珀」で“初タッグ”
今秋テレビ東京系で、西田敏行主演ドラマ「琥珀」が放送される。浅田次郎の同名小説を原作に、岡田惠和が脚本を担当し、共演には寺尾聰。西田と寺尾は作品としての“共演”はあるものの、同じシーンでの共演は今作が初となる。
同ドラマは、西田演じる定年間近のさえない刑事・米田勝己が、とある小冊子の記事を目にしたことをきっかけに、20数年前に起きたある事件が再び動き出すヒューマンストーリー。北陸・魚津の寂れた田舎町でひっそりと喫茶店を営む店主・荒井敏男役の寺尾は、自分の罪を背負いながら、ただ時の流れをじっと待つ、静かに耐える男を演じる。
西田敏行コメント
浅田さん原作の短編のドラマ化で主演を演じさせていただくのは5作目になります。今回、岡田惠和さんのサイドストーリーを含めた脚色も素晴らしく、密度の濃い芝居ができたので、胸弾む楽しい撮影現場となりました。
米田という男は、職場では“ダメなやつ”とはんこ押されるタイプの刑事なのですが、最後の最後に、社会に対して行った悪に対して落とし前をつけてやろうという気持ちで寺尾さん演じる荒井の元に出向きます。
しかし、一緒に過ごすうちに気持ちを抱え込まれてしまうという、相手の心境をおもんぱかる、トゲの無い刑事、とんがってない刑事を演じました。
今回、コーヒーがポイントポイントで出てきます。寺尾さんが入れてくれるのが“ネルドリップ”という昔風の入れ方なんですが、フィルターの中に豆を入れてお湯がしみわたるまで少しずつ入れると「ひた…、ひた…、」と落ちる、これがまた「いいな~」って。ドラマに一味添えてます。
寺尾さんとは、お互い同じ作品に出てはいるのですが、顔を合わせてちゃんとやり合うということはなかったので、今回は「念願かなった!」って感じですね。
喫茶店のカウンター越しでのやりとりだけで、僕の想像を超える“過去に何かを持ってる男”という感じがにじみ出ていて…。その横顔を見ているだけで涙が出てきたシーンもありました。やはり、いい役者と一緒にやってると楽しいですね!
寺尾聰コメント
同い年でもある西田さんとは一度はちゃんと共演したいと思っていました。西田さんの「釣りバカ」シリーズ(1988年ほか)や「半落ち」(2004年)で共演させてもらったこともありますが、同じシーンで向き合うことが無かったんです。僕の中で非常に興味深い俳優だったので、どこかで一度! と思っていたことがあり、やっと実現した、そんなうれしい気持ちで撮影に臨めました。
ただ、役が、捕まえる側と捕まえられる側というあまり近くなり過ぎてはいけない感じの役なので、くすぐったいというか、何とも困惑している自分がいる、という面もありました。
この作品は、シナリオが大好きな岡田惠和さんだったので、とても楽しみでした。それと、僕のTVドラマ初出演作品のディレクターだった、協力プロデューサーの石橋冠さんの名前を見て、感慨深く、いろいろな思いが重なって現場に入りました。
荒井という男は、背負っているものを持ちつつずっと身を潜めていた男です。その男を捕まえに来た人が単に捕まえに来ただけの人ではなかった、というのがドラマのベースです。職業から離れた男と男の関係、演じてて楽しかったですね。いい感じに出ていればと、期待しています。
山鹿達也プロデューサーコメント
テレビ東京では、これまで浅田次郎さんの原作をドラマ化してきました。2010年に放送した「シューシャインボーイ」は、ソウル国際ドラマアウォードでグランプリを受賞するなど、いずれも高い評価をいただきました。
今回の「琥珀」は、原作を読んだときからドラマ化したいと思い、ようやく実現した作品です。定年間際の刑事と殺人逃亡犯との駆け引きと友情を描いたもので、西田敏行さんと寺尾聰さんが初タッグで名演技を披露しています。
同年齢の演技派同士のやりとりは、繊細さと大胆さが入り交ざった独特の緊迫感とユーモアが有り、まさに鳥肌モノで、必見です。
浅田次郎の切なく、ちょっぴりほろ苦い原作を、岡田惠和の脚本、雨宮望の演出で、大人の鑑賞に堪える良質なドラマに仕上がると確信しています。人間関係がギスギスして閉塞感が拭いきれない今の日本に、心静かな希望を届けられたらと思います。どうぞご期待ください。
今秋、テレビ東京系で放送
出演=西田敏行、寺尾聰ほか
原作=浅田次郎「夕映え天使」所収「琥珀」(新潮文庫刊)
脚本=岡田惠和
監督=雨宮望
プロデューサー=山鹿達也、小松幸敏、佐藤毅
協力プロデューサー=石橋冠