長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は「ザ!鉄腕!DASH!!」(毎週日曜夜7:00-7:58、日本テレビ系)をチョイス。
5年がかりでパンケーキを作る「ザ!鉄腕!DASH!!」
実は「鉄腕DASH」って全然見たことがなくて、なんとな~くの空気感をうっすら覚えている程度だったので、今週の回が国分太一とキンプリ岸優太の2人体制だったことにまず少し驚いたけども、新宿のビルの屋上で小麦とハチミツを栽培してパンケーキを作るという企画を5年がかりでやっていて、相変わらず壮大なことをやってるんだなあ、と感心した。たまたま「完結編」と銘打たれている回を見られてラッキーだった。
パンケーキを作るため、小麦、ハチミツ、ブルーベリーなど、必要なものをすべて手作業で栽培するというのが、番組として端的に面白い。特に、ミツバチの生態は底知れず、ハチの巣を最初に食おうと思った奴も底知れないと思うが、それはよくて、こうして生き物の生態を目の当たりにすると、やはり神秘を感じる。地球の生態系は、こうしてあらゆる生物の働きによって循環しているのだ。私は1日中横になってパソコンを眺め、1時間に1回ほど尻を持ちあげ屁をこいている。この働きも、きっと何かを循環させているのだろう。
国分太一と岸優太の掛け合いも、しっかりした先輩とちょっと抜けた後輩、という感じで、良い意味でテレビ的でないような、かなり自然な味わい。画面に写っているものがハナから興味深く面白いので、演者が面白く盛り上げるというよりは、視聴者と一緒に出来事に驚き続ける。テロップも音楽も簡素、この飾らなさこそ強い番組の証なのだろう。
屋上こそ至上
そして何より屋上である。物件選びに欠かせない条件というのが皆さんあると思いますが、私はとにかく屋上が欲しい。それも、集合住宅のものではない、自分だけの屋上が欲しい。そこにコールマンの折り畳みチェアとか置いて、朝コーヒー飲んだりしてもいいし、レジャーシート敷いて夜に海を眺めてもいいし、フットサルやってもいいし、本当は屋上を喫煙所にしたいというのが正直なところなんですが、とにかく、屋上があることで生活の要素が格段に増す。外を歩いているときも、あの屋上は良い、ああ、あの屋上も良い、と人様の家を指さしまくってしまう。ルーフバルコニーでもいい。
しかし、自分だけの屋上を手に入れるには、必然的に一軒家を手に入れなければならないということになる。そんな金を用意するには銀行を襲うくらいしかないんで、広々とした屋上に憧れを残したまま諦めているのだが、屋上で何か活動している人を見ると、本当にうらやましくなる。家に屋上、もしくはルーフバルコニーがあるという人、それがどれだけ尊いことか、改めて再認識してもらいたい。当たり前だと思っちゃいけない、あなたが当たり前だと思っているそれを、心の底から求めている人がいるんだから。急に説教されて意味わかんないだろうけども、愛してあげなさい、屋上を。