坪田氏が選ぶお気に入りのシーンは...
ーー心に残るシーンが多い「探偵ロマンス」ですが、特にお気に入りのシーンなどがあれば教えてください。
脚本家としては、第1話ラスト近くの、三郎のセリフ「知りたくなったからだ。太郎さんの目に映る世界を見てみたい」までの一連のシーンです。「なんで僕の小説を読みたいって言ってくれたんですか」と聞いた太郎に対して三郎が「そんなことが気になってたのかい」って笑うんだけれども、それに対して太郎が「“そんなこと”じゃない」と真剣に返したとき、きちんと若造に対して「それは悪かったな」って謝れる。体力があって強いからかっこいいんじゃない、白井三郎の魅力が存分に出ているシーンだと思います。そういうキャラクターが書けたこともうれしかったですし、自分が書いたものをおふたりの演技でより良いものにしていただいています。
個人的には第2話でお百が「住良木さん、キスして」と迫るのに対して、住良木が「ロマンスは本当に好きな人としかしちゃいけないんですよ」って返すシーンです。映像を見て、「あー、どうしよう!」って言っちゃいました(笑)。
あとは、森本慎太郎さん演じる潤二が出てくるシーンですね。潤二は、深みを持って演じるのがとても大変な役だと思うのですが、第1話の頭、物語や太郎がどういう扱いをされているのかの導入部分を、およそ10分森本さんの芝居で引っ張ってくださっているんです。森本さんとは以前一度ご一緒したことがあり、ぜひまた一緒に仕事したいと思っていた役者さんだったので、「こういう役をやってほしいんだよな」っていう役で出ていただいてうれしかったです。皆さんほめていらっしゃいますが、声がいいですよね。前半、ちょっとしっとりした感じになるドラマなので、あそこにからっとした、でも馬鹿には絶対に見えないという華のある演技が入るのはありがたいです。
ーーまだまだ続いてほしい「探偵ロマンス」ですが、全4話構成ということで、折り返しを迎えましたね。
全4話と言う話数はきれいに「起承転結」にする必要があり、ゆとりみたいなものを入れづらいので、難しかったです。書ききれなかった部分や、このキャラクターは実はこうなっていくんだ、っていうストーリーまで考えているので、続編のお話も期待しています(笑)。