予約が取れないことで有名な孤島の超人気レストラン・ホーソンに客としてやってきたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)が、店のシェフ・スローヴィク(レイフ・ファインズ)の極上の料理に添えられた“サプライズ”に追い詰められていくさまを、ブラックユーモアをちりばめながら描いた同作。トラウマ級の恐怖を描きながら、カテゴリー上はコメディーという異色作だ。
マーゴは、店にふさわしくないほどグルメに興味のない女性。客たちが皆ホーソンで食事するというステータスに有頂天になる中で、マーゴだけはスローヴィクとスタッフたちの異様な空気を感じとり、「食べるものがない」「何をいつ食べるかは自分が決める」と強い言葉でスローヴィクを拒絶する。
名優との対峙(たいじ)で生まれる壮絶な緊迫感
相対したスローヴィク役のレイフ・ファインズは30年以上にわたり映画と舞台で活躍する名優。彼が、「ハリー・ポッター」シリーズで演じている恐ろしい魔法使い・ヴォルデモート卿にも匹敵する妖気でレストランの化け物・スローヴィクを演じているのだが、アニャ演じるマーゴの存在感はそれにまったく負けていない。マーゴの大きく理知的でいかにも意志の強そうな瞳が、彼女一人だけスローヴィクと真正面から対峙するストーリーに説得力を与えている。
2人そろって第80回ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞・主演女優賞にそれぞれノミネートされたのも、2人の存在感が互角で、作品の中で高度にバランスをとれていたからにほかならない。異様な状況の中で、強烈なスローヴィクに強烈なマーゴが毅然と対峙することで生まれる緊迫感がこの作品の最大の見どころだ。
今後も、4月28日(金)公開のアニメーション映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」でピーチ姫の声を担当し、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のスピンオフ作品「Furiosa(原題)」(2024年公開予定)でタイトルロールのフュリオサを演じる彼女。待機作での演技にも期待が高まる。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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