3月22日(水)より東京・東急シアターオーブで開幕するミュージカル「マチルダ」。イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによって2010年に製作され、世界中でこれまでに1100万人以上を動員している大ヒット作品の日本初演に、トレンディエンジェルの斎藤司が出演する。2019年にオーディションで名作「レ・ミゼラブル」の出演を勝ち取ってから、ミュージカル経験を重ねている斎藤。普段はお笑い芸人としてテレビや劇場で活躍する彼だが、「だんだんお客さんも"ミュージカルの人"として見てくれるようになってきた」と手ごたえを語る。そんな斎藤にミュージカルというエンタメの魅力、舞台に立つ楽しさや野望について聞いた。
前説の経験を生かして爆笑をとりたい
──お稽古お疲れ様です。まだ始まったばかりとのことで(取材は1月中旬)、今日は初回の歌稽古と伺いましたが、状況はいかがですか?
日本初演の作品なので、歌詞なんかもかなり探りながらやっている部分がありますね。責任重大だなと思いますが、楽しいです。
──演じるミスター・ワームウッドは、マチルダの実の父ですが娘に無関心で辛く当たるという役どころ。仕事は詐欺まがいの中古車販売です。事前に台本をかなり読み込まれているとのことですが、どのように演じたいとお考えですか?
今はまだなんとなくイメージを作っているところですが、憎たらしいけど、バカでお客さんから愛されるように。今までやらせてもらってきた役、テナルディエ(「レ・ミゼラブル」)なんかにも近いところがあるのかなと思っています。
ミスター・ワームウッドは、音符に乗り切らないセリフがいっぱいあるので、芸人としての強みである喋りのテンポ感や間を活かして楽しみたいなと思います。コミカルさは出しすぎないようにしたいですが、芸人が持っているちょっと適当な部分や軽さ、たとえば滑り芸なんかも役に立つんじゃないかな。
──今回は田代万里生さんとWキャストですが、意識する点などはありますか?
2幕の最初が、ミスター・ワームウッドとお客さんとのやり取りから始まるんです。芸人として何百回もやってきた前説の豊富な経験を生かして、格の違いを見せつけたい(笑)。めちゃくちゃ笑いをとってやろうと思っています。最終的に拍手の練習をしてたらすみません(笑)。
──役へのアプローチはお2人でかなり違うかもしれませんね。
そうですね。だから僕が何をやるかは、もし聞かれても絶対教えないようにしようと思っています(笑)。
漫才についてはエゴサしないけど、ミュージカルではエゴサする
──斎藤さんはオーディションを勝ち抜き「レ・ミゼラブル」に2回出演され、昨年は「The Fantasticks」にも出演と、ミュージカル出演歴も増えてきていますが、出演する上で気持ちの変化はありますか?
やっぱり最初は勝手が全くわからず、“芸人がお邪魔している”という感覚でお客さんのハードルを下げてた部分があります。でもだんだんお客さんも“ミュージカルの人”として見てくれるようになって、自分の中でもフワフワせずにやれるようになってきました。
──それは観客の反応からも感じる部分がありますか?
僕は普段、漫才の出番ではエゴサ(SNSで自分の名前で検索すること)しないんですが、ミュージカルではエゴサしていて。そうすると好意的な意見や「違和感ない」って書いてくださってるのをちらほら見かけるので、それを全部コピーして保存しています(笑)。
──漫才ではエゴサしないけど、ミュージカルではするのはなぜですか?
漫才ではスベってる確率が高いからですね!傷つきやすいので…今日は大丈夫だろう!という手ごたえのある日しかエゴサしないです(笑)。 あと、ミュージカルには作品の"圧"があるので、自分がそこに甘えているところもあるかもしれません。長期間かけて皆で作り上げたものだから、自分たちだけで舞台に立つ漫才とは違う自信を持てる。
──ミュージカルに出演していて、つらいことや楽しいことを教えてください。
ミュージカルには意外と自由度があって、自分のアイデアが通るときもあるし、自分なりのおもしろいことをやったときにウケやすい場なのも楽しいです。つらいのは…セリフの量との戦いですかね…あとは人見知りなので、どうカンパニーの皆との関係性を作るかが課題です。今はコロナ禍でご飯に行く機会もないから、稽古場でもなかなか喋り辛くて…。
今回のキャストだと、龍ちゃん(小野田龍之介)と昆ちゃん(昆夏美)は共演したことがあって、特に龍ちゃんは僕がボケるとツッコんだりもしてくれるので、おんぶにだっこで行きたいと思っています(笑)。これから話してみたいのは木村(達成)さん。制作発表会見でお会いしたときは尖ってるというか、M-1の準決勝の楽屋みたいというか、ミステリアスな雰囲気だったので…。
ミュージカル「マチルダ」
出演:嘉村咲良 熊野みのり 寺田美蘭 三上野乃花大貫勇輔 小野田龍之介 木村達成 / 咲妃みゆ 昆夏美 /
霧矢大夢 大塚千弘 / 田代万里生 斎藤 司(トレンディエンジェル)
東京公演
2023年3月22日(水)~5月6日(土) 東急シアターオーブ
大阪公演
2023年5月28日(日)~6月4日(日) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://matilda2023.jp/