岸井ゆきのが2月14日に都内で行われた「第77回毎日映画コンクール 表彰式」に登壇。映画「ケイコ 目を澄ませて」で女優主演賞を受賞した。
「やるしかない！」という気持ちで始めました「
岸井は「こんな歴史ある賞をいただけて、とてもうれしいです。スタッフさん、監督、誰一人欠けてもこの映画はできなかったので、ここに監督と立てていることを光栄に思います」と喜びを伝えた。そして、「『ケイコ 目を澄ませて』は、情熱を注いだものに対して、勝ち負けではなくて、継続すること、静かに愛することを重要とした映画です」と作品のテーマを説明し、「でも、圧倒的に“負けたくない”という気持ちがケイコにはあって、それは私が映画を思う気持ちととても似ています。たくさんの人に見てもらいたいと思うと、おのずとランキングが付いてしまうんですけど、ただただ“いい映画作りに関わりたい”と思っていて、それはこの映画でできたと思います。勝ち負けじゃないって言ったけど、こんなふうに賞をいただきました。それは認めてもらった証としてずっと大切にしたいと思います」と受賞の喜びを語った。
本作でボクシングに挑戦した岸井は、「ずいぶん練習しました。ボクシング自体は3カ月トレーニングを。1カ月ぐらいでコンビネーションミットが得意だということに気づいて、あとは追い込んでトレーニングしました」と明かした。聴覚障がいのあるボクサー・小笠原恵子の著書が原案となっている本作では、ボクシングだけでなく“手話”も覚える必要があり、「“これは私に務まるのかな？”って思ったんですけど、その時点でスタートラインに立たされていたので、やるしかない！ そんな気持ちで始めました。でも、ボクシングも手話も自分に合っていたので、“強くなりたい”という気持ちで、“いい映画にしたい”と思いました」とクランクインの時の気持ちを語った。
「この映画でいろんな賞をいただけて、『これからどうしよう？』という気持ちはあるんですけど、いろんなアプローチができたらいいなと思っています。パブリックイメージが自分では分からないので、いろんなことに挑戦していきたいです」と今後の意気込みも伝えた。
今もボクシングのトレーニングを継続中
授賞式の後、囲み取材に応じた岸井。映画「ケイコ 目を澄ませて」が女優主演賞の他に、日本映画大賞、監督賞、撮影賞、録音賞の全5部門での受賞となったことについて、「とてもうれしいです。スタッフの方とも一緒に受賞できたことを感謝してます」と改めて喜びの気持ちを伝えた。
授賞式の中で「ボクシングが自分に合ってた」と語った岸井は、「トレーニングは今も続けています。(ボクシングが)好きになりました」と、撮影とは関係なく趣味としてボクシングを続けていると明かした。
「今回はボクサーになることだったり、手話を習得することだったり、身体的なアプローチが強かったと思います。自分と向き合って役ができていったと思うので、“これからどういうアプローチができるかな？”“もうちょっと距離を取ってもいいのかな”ということも考えています」と、今回とは違う取り組み方にも挑戦したいと語った。
「第77回毎日映画コンクール」受賞結果
日本映画大賞：「ケイコ 目を澄ませて」(三宅唱監督)
日本映画優秀賞：「夜明けまでバス停で」(高橋伴明監督)
外国映画ベストワン賞：「ベルファスト」(ケネス・ブラナー監督 ※代理登壇：宇都宮誠樹)
男優主演賞：沢田研二「土を喰らう十二カ月」(代理登壇：吉田憲一)
女優主演賞：岸井ゆきの「ケイコ 目を澄ませて」
男優助演賞：窪田正孝「ある男」
女優助演賞：伊東蒼「さがす」
スポニチグランプリ新人賞(男性)：番家一路「サバカン SABAKAN」
スポニチグランプル新人賞(女性)：嵐莉菜「マイスモールランド」
監督賞：三宅唱「ケイコ 目を澄ませて」
脚本賞：早川千絵「PLAN75」
撮影賞：月永雄太「ケイコ 目を澄ませて」(代理登壇：福嶋更一郎)
美術賞：今村力、新田隆之「死刑にいたる病」
音楽賞：青葉市子「こちらあみ子」
録音賞：川井崇満「ケイコ 目を澄ませて」
アニメーション映画賞：「高野交差点」(伊藤瑞希監督)
大藤信郎賞：「犬王」(湯浅政明監督)
ドキュメンタリー映画賞：「スープとイデオロギー」(ヤン・ヨンヒ監督)
TSUTAYA DISCAS映画ファン賞・日本映画部門：「チェリまほ THE MOVIE ～30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい～」(風間太樹監督)
TSUTAYA DISCAS映画ファン賞・外国映画部門：「トップガン マーベリック」(ジョセフ・コシンスキー監督)
田中絹代賞：寺島しのぶ
特別賞：中島貞夫(映画監督)
◆取材・文＝田中隆信
