「俺のダンディズム」('14年)や「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」('17年)、この夏スタートする「下北沢ダイハード」など、テレビ東京の深夜ドラマ枠で数々の話題作を送り出している濱谷晃一プロデューサー。バラエティー番組のプロデュース・演出を経て、入社12年目でドラマ畑に転身したことでも有名だ。そんな濱谷氏に、バラエティーを含めた作品歴や、ドラマ作りに懸ける思いなどを聞いた。
ドラマ志望なんて言うと生意気だと思われるから、3年間黙ってました(笑)
──元々はバラエティーの部署にいらしたんですよね。
「'01年に入社してから、12年間、バラエティーの制作を担当していました。もともと映画がすごく好きで、漠然と脚本や監督をやりたいと思って入社したんですが、先輩から『ドラマ志望なんて言うと生意気だと思われるから、3年間は黙ってろよ』って言われたので、3年間は異動の希望も一切書かず(笑)。でも、バラエティーもやりがいがあり、楽しかったですよ」
──初めて関わられたバラエティー番組は?
「『MUSIX!』('00~'03年)という、キャイ~ンとモーニング娘。が司会をしていた音楽番組にADとして配属されました。収録、編集、あらゆる雑務…目の前の仕事をこなすことで精いっぱいでしたが、割と細かい仕事をコツコツやるのは得意でした。ただ、ADに必要なムードメーカーの素養がなくて(笑)。先輩から『おまえみたいに暗いヤツはディレクターとして大成しない』なんて言われたのが悔しくて、『自分の企画を通して見返してやるんだ!』と、夜な夜なバラエティーやドラマの企画を考えてました。一方で『MelodiX!』('01~'12年)という深夜の音楽番組のディレクターも担当するようになりました」
──では、ご自身で初めて企画から立ち上げられた番組は?
「『熱狂的ファンツアー』('06年)という特番です。あるアーティストのファンの有名人が集まって盛り上がろう、みたいな企画です。今の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)に近いですかね。企画を考えついたのは、以前関わっていた『ヘビメタさん』('05年)や『ROCK FUJIYAMA』('06~'07年)にゲスト出演した宮藤官九郎さんや高嶋政宏さんがプログレバンドの『イエス』を熱く語っている姿に感銘を受けたのがきっかけです。芸人のまちゃまちゃさんと、当時長野県知事だった田中康夫さんが、エレファントカシマシの大ファンだと知り、立場の全く違う2人が一緒にコンサートに行って、グッズを買ったり、歌ったりしたら面白いなと思って。内容も面白く、深夜で3.4%となかなかの高視聴率を獲りまして、なんとゴールデンの夜7時台で第2弾をやることになったんです。でも結局、視聴率は3.5%。深夜とほぼ同じ(笑)。レギュラー化されることなく終わってしまいました」