『ウマ娘 プリティーダービー』『アイカツスターズ!』『ラブライブ！虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』などの人気作品へ次々に出演し、芝居にステージに、幅広く活躍を繰り広げる声優・前田佳織里が、待望の自身名義での音楽活動をスタートする。3月15日にリリースされた1st EPのタイトルは、『未完成STAR』。初のアニメタイアップ担当楽曲を含む全4曲は、いずれも「表現者・前田佳織里」のパーソナリティを映し出した佳曲たちだ。音楽活動、そして『未完成STAR』にたどり着くまで、前田佳織里はどのように歩みを進めてきたのか――声優や音楽を志すことになったルーツから青春時代、そして現在に至るまでを語り尽くした超ロング・インタビュー、第9回は、歌詞のメッセージを読み解きながら、収録曲について解説してもらった。
“Fantasy”には、普段口に出して言えないステージへの執念、見てもらうことへの執着が全部ギュッて詰まっています
――演技者として、キャラソンを歌う人として、気づきを与えてくれたのはファンの人の言葉だった、という話がありましたけど、前田さん自身の音楽活動が始まることへのリアクションからは、どんなことを受け取りましたか。
前田：皆さんのリアクションをたくさん見ました。発表のときに、すっごく緊張しちゃって。普段、何かを告知することでそこまでドキドキすることがなくて――自分が達成したことをみなさんに知ってもらうのはひとつの仕事、みたいな考え方ではあるので。だけど、アーティストデビューの発表のときは、夜眠れなくて、なんとなく起きちゃったりしていました。「はあ〜、ドキドキする。なんかフワフワしてんな、実感がわかないな」みたいな感じでした。
で、発表のタイミングでツイートしてからは、みなさんが盛り上がってくれて、トレンドに上がったり、いろんな記事を上げてくださったりして、「なんかすごいことになってる！」って思いました。アー写を見たときに「強い系なんだね」「クール系なんだね」ってビックリされた方が多くて。演じてきたキャラクターや歌ってきた曲もかわいい系統のイメージがあったみたいで。だけど、バンド活動もしていてプロになる前から向き合ってきた音楽への姿勢を総括した結果、自分の中の芯、揺るぎないものを表現するようなアー写になりました。
――アー写のビジュアルイメージと近いのは、EPの中でいうと“Fantasy”かなと思います。それこそ原点回帰というか、今まで歌ってきたキャラソンのイメージとは少し違う、もともとの前田さんの資質として“Fantasy”のような曲がルーツにあって、「1回置いてきた癖」も全開に発揮できる曲なのではないかと。
前田：そうですね。“ポジティブガール”は、等身大の前田のイメージです。逆に“Fantasy”は、普段自分が照れ臭かったり、泥臭すぎたりで、口に出して言えないステージへの執念、見てもらうことへの執着が全部ギュッて詰まっています。
――いい言葉ですね、「見てもらうことへの執着」。
前田：はい、そこがほんとに詰まっていて、それって言葉にしてもなかなか伝わらなかったりすることなんです。でも歌にすることによって引っ掛かる、聴いてくれた人の心をつかんで離さない何かになったらいいなって思っていて。言葉が正しくないかもしれないけど、“ポジティブガール”が光で、“Fantasy”が闇のイメージです。闇だから悪いっていうことではなく、「どっちもあるからわたしなんです」という。
――普段は見えてない、裏側の部分。
前田：そうです。“ポジティブガール”は等身大のわたしで――自分はすごく前向きだしポジティブだし、でもそれは普段見せない“Fantasy”の歌詞のような、秘めたものがあるからでもあって――ということです。光があるから輝けるし、闇があるから輝ける――んんんん？ わかんなくなっちゃった(笑)。
――(笑)太陽と月みたいな関係ですか。
前田：そうです、お月さんみたいな感じです(笑)。
ステージが呼んでくれてる感覚があるし、実際にステージが大好き
――実際、“ポジティブガール”は前田さんを知ってるファンの人が抱くパブリックイメージに、かなり印象が近いでしょうね。
前田：そうかもしれないですね。「あっ、前田さんだあ！」っていう。安心してもらえる、ホッとしてもらえるんじゃないかなっていう感じがします。
――“ポジティブガール”は『未完成STAR』のタイトルにつながる歌詞を含む曲ですが、《歌えば吐き出せるでしょう？》っていうフレーズもささるなあと思ってまして。
前田：嬉しい。いい歌詞ですよね。
――歌うのも気持ちがいいでしょうし、相当気持ちが乗るだろうなと。
前田：わたし、不思議なことがあって、よく「こんなにお仕事して、ステージにも立って大変じゃない？」って言われるんですけど、わたしは本当にステージが好きだから、ステージに立つと楽しいし、「あ〜、楽しかったあ。またやりたいなあ」って、ずっと思ってるんです。ステージが呼んでくれてる感覚があるし、実際にステージが大好きなので、まさに「歌えば吐き出せるでしょう？」っていう気持ちがあります。
――自分への問い掛けにもなってるんですね。
前田：そうなんです。見てくれる人に対してもそうだし、自分自身にも向かっているような曲にもなっています。
2017年、声優デビュー。代表作に、TVアニメ『アイカツスターズ！』『ウマ娘 プリティーダービー』『ラブライブ！虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』など。4曲入りの1st EP『未完成STAR』より、自身名義の音楽活動をスタート。
https://twitter.com/kaor1n_n
ディーエムエムミュージックアストロボイス
発売日： 2023/03/15
