コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家・真造圭伍さんの『清水家のすべて。』をピックアップ。
短編集『センチメンタル無反応』(小学館)に収録されている本作は、ゴミ屋敷で暮らす一家の崩壊と再生を描いた物語として話題を集めている。真造圭伍さんが2月24日に本作の前編を自身のTwitterに投稿したところ、6800以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、真造圭伍さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
父が集めた所有物であふれる“ゴミ屋敷” 清水家が崩壊するまでを描く前編
高校を卒業後、春から東京で働くことを決めた清水家の長女・美智子。交際中の久保遼平も上京し進学するため、同棲する約束を交わしていた。卒業式を終えたその足で、両親に許可を得ようと美智子の家へと向かう2人。しかし、到着した美智子の家は1階がガラクタで埋まった“ゴミ屋敷”で、久保は言葉を失ってしまう。
収集癖があり“自分と自分の所有物のことしか考えていない”父親や、奇抜な風貌でネット配信をするニートの兄の存在に、驚き戸惑う久保。父から同棲の許可は得られたものの、その日以降、久保から美智子への連絡は途絶えてしまう。そのことを知った唯一まともな母だけは美智子を心配し、「こんな家族でゴメンね…」と言葉をかける。しかし次の日、美智子が帰宅すると机の上に突っ伏して動かない母の姿があり…。
“ゴミ屋敷”で暮らす清水家が崩壊するまでの出来事を描いた前編。一方、後編では読者が予想だにしない展開が待ちうけ、一家の絆を感じさせる“家族再生”の物語となっている。Twitter上では「人生の面白さが詰まってて好き」「絵がとても心地よい」「良い漫画に巡り合えた」などのコメントと共に、「お母さんが心配すぎる」「これじゃ救急車も来られない」など心配の声も寄せられ、反響を呼んでいる。
「物に執着する父へのアンチテーゼを込めて」作者・真造圭伍さんが語る創作背景とこだわり
――『清水家のすべて。』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
当時、月刊誌で毎月短編を描くということをしていて、それで描きました。ゴミ屋敷に暮らす家族の話というのは、自分の父が物に対する執着が凄く、家族をないがしろにしている雰囲気を感じ、それに対するアンチテーゼを込めて描きました。
―― ゴミ屋敷に住む一家の崩壊と絆を描いた本作ですが、真造圭伍さんが本作に込めた思いや「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
上に書いた父がこれを読んで少しでも改心してほしいと思って描きました。最初、父は自分がモデルだと気づかなかったようですが、母が「モデルは父だ」と教えたらしく、びっくりしていたそうです。そこから、一瞬父の態度が良くなったそうですが、すぐ元に戻ってしまったそうです。現実は厳しいです。
――本作の中で、真造圭伍さんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?理由と共にお教えください。
ネタバレになってしまいますが、ラスト、火事になったシーンを凄く引きで描いたのは、こういう描き方をした人はあまりいないと思うので気に入っています。水をはった田んぼに、炎が反射しているのも描けて良かったです。
――本作が収録されている短編集『センチメンタル無反応』について、タイトルに込めた想いや、このタイトルにした理由があればお教えください。
当時はスランプでネタ切れで漫画は売れず、何を描いても「無反応」な状態に感じていたので、こういうタイトルにしました。「センチメンタル」は、なんかセンチメンタルな漫画が好きだからです。
――週刊スピリッツ(小学館)で連載中の『ひらやすみ』では、田舎から上京した青年たちの何気ない日常をとおして、人と繋がることのあたたかさを描き話題を集めています。真造圭伍さんにとって、創作活動全般においてのこだわりや特に意識している点はありますか?
昔と今では心境など色々変わりましたのでうまく言えません。今描いている漫画だと、仕上げ作業以外は全部自分で描くということです。なるべく遊び心があって雰囲気を感じさせるような画面になればいいなと思っています。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
最後まで読んで下さってありがとうございます!これからも、漫画を無事描きあげられるよう頑張りたいので、読んで頂けますととても嬉しいです…!