豊は穣たちにおにぎりの作り方を教える
種は豊が作ったおにぎりをいたく気に入ったようすで、豊がおにぎりを分けてやるとお返しにニコニコ顔の描いてあるキャンディをくれた。豊はおにぎりの作り方を穣と種に教えることになり、豊はちょっととまどい曇った表情を見せる。
豊は約束通り穣たちのうちを訪ね、みんなで大きなおにぎりを作る。豊は人と食事をするのが苦手だったが、穣や種に誘われて楽しそうに笑顔でおにぎりを食べた。
また訪れる約束をして、うちに戻ってベッドに横になった豊。「僕の身体に何か新しいものが入ってきた。暖かくて丸くてキラキラした何か」と、穣や種と一緒におにぎりを食べた情景を思い出す。テーブルに置かれた種からもらったキャンディのニコニコ顔は豊の心情を表すかのようで、見ているこちらも頬がゆるむ。
会社の昼休み、種と電話する豊は、今週も一緒に作って食べようと誘い、リクエストをカレーと聞いて笑顔になる。同僚のレイはそのようすを見て珍しいと驚く。そして、「それはもしかしたらきっと、僕がずっと欲しかった何か」と豊の心の中のモノローグで今話は幕を閉じた。
種を介した豊と穣の出会いにほっこりとさせられる。そして過去に心の傷を抱えた豊が前向きになれそうな兆しが見え、じんわりと心が暖かくなる。美味しそうな大きなおにぎりも、少しずつ前進していく主人公も、ポジティブな気持ちにしてくれた第1話にこれからの展開が楽しみになった。
◆構成・文=牧島史佳