dTVをリニューアルした新たな映像配信サービス「Lemino」が、4月12日よりスタートする。その旗揚げ作品の1つとして情報解禁された「さらば、銃よ 警視庁特別銃装班」は、本広克行氏が総監督を務め、仲村トオル、舘ひろし、豪華キャストが出演するオリジナルドラマだ。「踊る大捜査線」シリーズで一世を風靡した本広監督は、不朽の名作「あぶない刑事」シリーズ以来、強い絆で結びつく舘ひろし、仲村トオルとどんな作品を作ったのか。話を聞くとハードボイルド作品への熱い思いを聞くことができた。
舘ひろし「後世に残すべきもの」、ガン&カーアクションを今やる意義
ーー「Lemino」の旗揚げ作品の目玉として配信されることになったオリジナルドラマ「さらば、銃よ 警視庁特別銃装班」。本作が始動することになった経緯を教えてください。
本広克行監督(以下、本広監督):コロナ禍の時代、刑事物を描くのなら、みんなが楽しめるような作品、躍動感のあるものにしたいなと思いました。それで、田中エグゼクティブ・プロデューサーと話していたのですが、田中さんが車と銃が大好きな方で「そういうのやれないですか?」と聞いてきたんです。そのときは「やれなくはないですけど、お金かかりますよ」って言ったのですが、話をする中で舘ひろしさんと仲村トオルさんというキャストが見えてきて、「それならば!」と一気にその方向性へとシフトしていきました。
ーー舘さん、仲村さんが揃ったからこその、この作品テーマなんですね。
本広監督:そうですね。キャスティングありきでやりましたし、もしもこの2人でなかったとしたら、別のことをやっていたんじゃないかなとも思います。銃が似合う方って、シンプルになかなかいらっしゃらないので。ただ、舘さんやってくれるかな?って不安はあったのですが、別のイベントでバイクに乗って、銃をぶっぱなしてももいろクローバーZを助けているのを見て「これはいける!」と確信しました(笑)。
ーー舘さん、仲村さんはこの作品のオファーを受けたとき、どう思いましたか?
舘ひろし(以下、舘):僕はトオルがいるし、本広監督とは前からご一緒したかったし、2人がいらっしゃるなら、ぜひやりたいなと。内容はなんでもいいよというくらい、この2人がいることが貴重でした。
仲村トオル(以下、仲村):最初いただいた企画書に、作品の世界観は「西部警察」や「あぶない刑事」と描かれていたんですね。それを見たときに、昭和の終わりに舘ひろしさんと柴田恭兵さんの“愛の結晶”として生まれた僕ですから(笑)、やるべきだろうと思いました。しかも「あぶない刑事」のようなそれまでの刑事ものへのカウンターのような形で創られたという「踊る大捜査線」を大ヒットさせた本広監督と令和の時代に、アクション作品を創るなんて、どうなるのだろうとワクワクもしました。撮影規制が厳しくなった今の時代に、カースタントやアクションがどこまでできるのかも楽しみでした。
舘:アクション系のドラマや映画は“後世に残していくべき作品”だと思っています。ただでさえ減ってきているスタントマンの方や、拳銃を扱える役者がどんどん減ってしまっていて、いずれできなくなる恐れもあります。だからこそ、今のこの時代に、今回の作品が出来るというのはありがたいなと思いました。
ハードボイルドの美学、楽しさを知ってほしい 「あぶない刑事」オマージュも
ーー舘さんがお話しされたように、昨今ハードボイルドな作品が減っている印象もありますが、改めて本作の注目ポイントやおもしろさをお伺いしたいです。
本広監督:本作の冲方丁さんの原案の中にあった、組織論的な要素に、おもしろみを足しています。きっと、この原作の時点で、舘さん、仲村さんがやってきたことがすり込まれているのではないかなと感じたのですが、いざ形にすると想像以上におもしろくなりましたね。
舘:石原プロが制作したドラマ「ゴリラ・警視庁捜査第8班」という作品があるのですが、僕はあの世界観に近い作品をずっとやりたくて。そしたら、今回の現場に入ったときに、それに近い世界観を感じられました。
本広監督:車を見たときに、車をセットにした方がかっこいいなと思ったんです。それに、今の警察ではハッカーのような存在の人も活躍しているんだろうなと。舘さんからお話を聞いたときに、作品に要素として入れたいなと思いました。
舘:それから、もう1つの魅力が「セリフの楽しさ」かなと。ハードボイルドの世界には、おしゃれなセリフが多く散りばめられているんですよね。クラシックなところで言えば“君の瞳に乾杯”はまさにそうです。「007 ロシアより愛をこめて」や「007 ドクター・ノオ」、「ゲッタウェイ」といった僕にハードボイルドの世界を示してくれた教科書のような存在の映画に散りばめられているような、「男のロマン」「ハードボイルドの美学」を感じていただきたいです。
仲村:僕は、具体的に、このシーンというよりも、作品全体にいろいろな要素が詰まっていると感じました。例えば、ティザー映像を見て、気づいていらっしゃる方もいるかもしれませんが、36年前、1987年に放送された「あぶない刑事」の最終回で舘さんが演じる<鷹山>が言ったセリフを、この作品の中で僕が言っているんです。そのセリフを言ったときに、自分が歩いてきた道のりや、今現在思わぬところに立っているなということを感じて、とても感慨深かったです。
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
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