コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、父と息子の絆を“Vチューバ―”を通して描いた作品「父の形見が萌えVチューバ―のアカウントだった話」をピックアップ。作者の綿和わたさんが3月3日にTwitterで同作を投稿。そのツイートには9千以上の「いいね」と共に、作品名からは予測できない話の展開に多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、綿和わたさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。
ギャグ漫画かと思いきや、まさかの感動的な展開に...
ある日、自分の命が長くないことを悟った父親は息子“雄吾”に形見として、抱擁妹系Vチューバ―「満豊恋幕」のアカウントを託す。「満豊恋幕」はチャンネル登録者数70万人、動画平均再生数は20万という、動画投稿の収入のみで生活ができてしまうほどの売れっ子Vチューバ―だった。厳格な父親が満面の笑みで「お兄ちゃんおかえり♪」といった可愛らしいセリフを発し、「満豊恋幕」として活動しているという事実に引き気味な雄吾だったが、父親が治療に専念することを条件に、嫌がりながらも「満豊恋幕」として活動することを決意。
雄吾は「満豊恋幕」を続けることが自分にできる最期の親孝行になるのではないかという思いのもと、ライブ配信を続けていたが、いよいよ体が限界を迎えた父親は倒れてしまう。「まだ死ぬなよ。一週間後のライブ絶対見ろよ」と約束をした雄吾。ライブ当日には「満豊恋幕」を通して今までの感謝を述べることができた。そして父親は、ライブを大成功に収めた雄吾を見守ると静かに息を引き取った。
父子家庭で育った雄吾は父親の存在が何よりもありがたく、支えになっていたという感謝を父親が残した形見である「満豊恋幕」を通して伝えた、最大級の親孝行を描いた本作。Twitter上では「最初はギャグかと思ったけど、最後は感動で涙腺が...」「泣いた」「めっちゃいい話」などのコメントが集まり、話題を集めている。
「父親が萌えVチューバー？それを形見に？」作者がこだわったギャップ作り
――「父の形見が萌えVチューバ―のアカウントだった話」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
2022年の秋ごろ、編集部に持ち込みをするために創作した作品です。その後、ヤングマガジン月例賞を受賞し編集部の許可を経てTwitterに公開しました。読切作品はツカミが大事だと思い、タイトルや導入からインパクトのある話を考えようとしました。その結果「父の形見が萌えVチューバ―のアカウントだった話」が誕生しました。父親が萌えVチューバー？それを形見に？とタイトルからギャップにそそられ、中身が気になるような作品にできた気がします。
――「こだわった点」や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
ツカミを意識した作品ですので、最初の1～4ページからいきなりアクセル全開なところが一番こだわった点になります。あとはギャップを意識した作品なので、父親が萌えVチューバーというギャップや、作品自体がギャグからシリアスに変わるという展開の高低差のギャップにもこだわりました。一番見てほしいのは厳格な父親と主人公が真面目に「満豊恋幕」になりきっている場面ですね。ギャップやリアクションなど見ていて楽しいので。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
ライブのシーンが特にお気に入りです。単純に作画が上手くいったというのもあるのですが、病室と父親との対比があって心情が上手く表現出来たかなと思います。「こっちにこいこい恋慕(こいも)だよ♪」と言う挨拶もお気に入りのセリフです。
――この作品に登場するお父さんは、実はVチューバ―の「満豊恋幕」として活動する、お茶目で個性的な人物だと思いますが、このキャラクターはどのようにして出来上がったのでしょうか。
ツカミの候補の一つにギャップのあるキャラクターを想定していたので、そこから引き出しました。昨今では可愛いVチューバーの中身が実は意外な人物(父親、おじさん、お婆さん、宇宙人など)だった！などのようなギャップはありふれていますが、それを形見として継承するなら目新しくて面白いのでは？と思い作り上げたキャラクターです。
――「満豊恋幕」のキャラを考える上で参考にした人や物がありましたらお教えください。
配信の流れなどの雰囲気は、実際にいろんな方の配信を見て参考にしました。あと、ビジュアルや挨拶などが実際に活動している人と被ってしまってはいけないと思ったので、参考とは少し違いますが色んなVチューバーの方を精査しました。
――ストーリーを展開する上で苦戦した点などありましたらお教えください。
オチが悩みました。しかし、継承がテーマでもあるのでこれでいいと思っています。
――今後の展望や目標をお教えください。
自分の連載作品を持つことです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！
作品をお読みいただきありがとうございます！Twitterでも定期的に漫画を更新する予定ですので、良ければこれからも読んでください。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
