「第17回テレビ朝日新人シナリオ大賞」の受賞作が決定!
第17回「テレビ朝日新人シナリオ大賞」の決定発表記者会見と授賞式が東京・六本木のテレビ朝日本社で開催された。
数多くのシナリオライターを輩出してきた同賞は、2016年からテレビドラマ、オリジナル配信ドラマ、映画の3部門に分けて募集する形態に一新している。
第2回大賞受賞者は、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年ほか)やドラマ「リーガルハイ」(2012年、フジ系)を手掛けた古沢良太氏など、数多くの脚本家が羽ばたくチャンスとなっている。
全3部門で1544篇の応募があり、第1次選考は日本脚本家連盟に所属する脚本家たちが行い、218篇が通過した。第2次、第3次選考は、テレビ朝日のプロデューサー、ディレクターなどで構成された“社内選考委員会”によって審査が行われ、10篇にまで絞り込まれた。
5月26日には、選考委員の脚本家の井上由美子、岡田惠和、両沢和幸の3氏による最終選考会をテレビ朝日本社で行い、大賞および優秀賞、計3作品が決定した。
今回は、事前に大賞が誰に送られるのか知らされておらず、会見で発表。大賞に輝いたのは、テレビドラマ部門に応募した池田有佳里氏の「ヒマワリの向いていない方」。また、優秀賞には湊寛氏の「さかのぼり郵便局」、小林千晶氏の「みんな大切な私」(共にテレビドラマ部門)の2作が選出された。
大賞に輝いた池田氏は、「とても光栄で…驚いています!」と驚きつつも喜びの表情であいさつ。そして、「シナリオを書きはじめて20年ほど経ちますが、久しぶりに皆さんに読んでいただく緊張感と、審査を上がっていく過程にドキドキしました。今後もオリジナルの脚本を目指していきたいと思っています」と、涙ぐみながら喜びを明かした。
優秀賞の小林氏は、「この“テレビ朝日新人シナリオ大賞”には過去にも何度か応募しましたが、実は今までは一次選考すら通ったことがなく、もうあきらめようかなと思っていたところです。応募し続けて、本当によかったです」と喜びを明かした。
そして、北海道でテレビディレクターをしているという湊氏は、「バラエティー番組や報道番組に携わってきましたが、元々は映画監督になりたくて大学では映画製作を勉強してきました。いつかはドラマを作りたいと思っていたのですが、思い続けるだけで40歳を過ぎてしまい、今回、“これじゃあいかん!”と一念発起してこのシナリオを書きました」と応募のきっかけを語り、「大賞に選ばれなかったことについては悔しい思いもありますが、これが自分の伸びしろだと思って頑張っていきます」とあらためて意気込んだ。
審査を担当した井上氏は、「個人的な感想を申し上げると、私は小林千晶さんの作品『みんな大切な私』が好きでした。過去と未来の自分に会うという物語ですが、セリフがとても上手で、小林さんは“書ける人”になるのではないかと思いました」と期待を寄せる。
そして、「最近、コンクールの応募作を読むと“自己規制”がかかっているといいますか、できるだけ人にけなされないようなものが多く、チャレンジする作品が少ないように思います。今回の3人はそれぞれ自分の描きたい世界に挑戦していらしたので、3人のチャレンジには拍手を贈りたいと思います」と受賞者たちを絶賛した。
岡田氏も、「今回は非常に読み応えのある応募作が多く、チャレンジしているものやハートウォーミングな作品がある中、“これが描きたい”という思いが強かった3人が最終選考に残ったのだと思いました」と振り返った。
さらに、「脚本家はそんなに楽な商売ではなく、先輩たちが作ってきた“今ある型”みたいなものを壊していくような、新しいチャレンジがどんどん必要だと思います。このような受賞のステージに乗った以上、ここから先は同業者としてライバルでもありますので、助けることはありませんが(笑)、一緒に戦っていきたいと思います」とアドバイスした。
両沢氏は、「コンクールに応募するときは、皆さんが書きたい作品、得意な分野を選んで描くと思います。ところが、プロは発注があって書くことになるので、書きたくない傾向や苦手な分野も手掛けなければならないということが多々あります。それを乗り越えないとプロにはなれません。いつか自分が本当に書きたいものを書けるときが来ると思うので、それまでは作品にこだわらずにトライしてほしいと思います」とプロならではの助言も。
最後に、「結構な額の賞金をもらって、受賞者の皆さんはホッとして緊張感が解けてしまうかもしれません。でも、もし脚本を一生の仕事にするのであれば、5年や10年くらい食えてもダメ。30年から40年は食っていくことができなければ、仕事とはいえません。ぜひ長くやるつもりで頑張ってください」とエールを送った。